2009年5月23日土曜日

蜜の味


盧武鉉前韓国大統領が自殺。
政治資金の不正蓄財と家族の利権導入で検察当局から取り調べの最中だった。

一瞬、政治的な謀殺かとも思ったが、警護官の目前で崖から飛び降りたというから覚悟の自殺だったのだろう。

しかし韓国の大統領は全斗煥、盧泰愚と辞任後に不正が暴かれるケースが続発する。この二人は軍人出身だったので、権力掌握に権謀術策を弄したであろうことは理解できるが、盧武鉉の場合は、人権派の弁護士出身、若いネット世代の民意で大統領に選出されたにもかかわらず晩節を汚す結果になった。

台湾の陳水扁前総統も似たような罪状で現在収監中だ。
2000年の総統選挙でとかく汚職まみれだった国民党に代わって、やはり弁護士出身で清廉なリベラル派の闘士としてブームを巻き起こし政権を取ったとき、その現場を目撃していたが、あのときの熱気はいまでも鮮烈に覚えている。それでもそのイメージはいまや地に堕ちてしまった。

東アジアの政治で特に目立つのは権力者の一族が利権に群がること。「家」単位の意識が強い風土ゆえといったらそれまでだが、どんなに民主的に選ばれた指導者でもひとたび権力を掌中にすると、その甘い蜜の味の誘惑は抗い難いのだろうか?

韓国も、台湾も経済的には世界の主要国へと成長し、その発言力も高まっているが、一枚皮をめくれば民主主義いまだしの感はぬぐえない。
日本でも金がらみの話は政治につきものだし、世襲をめぐる郎党政治の見直しは論議の的だが、韓国や台湾のようなこんなあからさまな個人への利権誘導はさすがに表面上では過去のものになった。ように見える。

かといって、日本も政権奪取を狙う党代表の秘書が逮捕された問題も、代表辞任でうやむやになりつつあることをかんがみて、韓国や台湾の事件を他山の石とし深く肝に銘じなければなるまい。

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