2010年2月28日日曜日

リュウグウノツカイのメッセージ

諸星大二郎「栞と紙魚子と夜の魚」より

子供のころ、動物図鑑や魚類図鑑を観るのが好きだった。
特に変わった謎の多い希少生物や絶滅に瀕しているような動物にはものすごく興味が引かれたものだ。

通っていた幼稚園はちょっと変わったところで、母親にも色々と宿題が課せられたりする教育方針だったが、あるとき子供のリクエストをきいて動物のぬいぐるみを作るというテーマが与えられたことがあった。
普通の幼児はワンコとかニャンコ、せいぜいうさちゃんという希望を挙げていたのだろうが、そのときなんと“クロサイがいい!”とせがんで母親を困らせたそうである。母親はクロサイなるものを知らずわざわざ上野動物園まで“取材”に行ったらしい。
小学校時代も夏休みのデパートの展示場で催された「世界の爬虫類展」とかによく連れて行ってもらったが、さぞかし気味が悪かったことだろうと今になって申し訳なく思ってしまう。

この性癖は最近まで抜けがたくあって、NHKのドキュメンタリーで脚光をあびた怪鳥のハシビロコウや、東京湾の深海に潜むゴブリンシャークとかはしばらくマイブームとなっていたし、とりわけ深海魚系のラブカやメガマウス、ダイオウイカといっためったに観られないものが捕獲されたというようなニュースにはついつい反応してしまうのである。

昨年来、そんな稀少な深海魚の代名詞であるようなリュウグウノツカイが日本海沿岸に漂着したというニュースがしばしば伝えられるようになり、ものすごく気になっていた。何十年の間に数えるほどしかその姿が人目に触れることがないだけに、短い期間でそんなに複数回も捕獲例があることはまさしく異常事態である。
昔からリュウグウノツカイが打ち上がるのは大地震の前触れというようなことを言われていたが、そんな折、ハイチ、沖縄、そして昨日のチリと立て続けに大地震が起こったのもあながち偶然とはいえないのじゃないだろうか。


温暖化や人為的な海洋汚染、相次ぐ地殻の変動。
チリ大地震の津波で灌水してしまった東北の港町の映像を見ながら、一連の怪魚の死骸発見のニュースは物言わぬこれらの希少種たちの生存を賭した悲鳴、警鐘のような気がしてならないのだ。

2010年2月17日水曜日

週間呑みアルキスト2.1~2.14


●2月2日
編集制作会社BG社のYD社長が来社。彼の会社で発行したサッカームックFK誌の発売方法をめぐる相談だったが、いまどき自力でムックとはいえ広告も集めてそこそこの部数を作っているのに驚く。サッカームックと言ってもサッカー少年たちのお父さんお母さんに向けた教育的な意味合いが主眼の雑誌で巻頭インタビューの犬飼会長も絶賛している。その着眼点もさることながら作り手の熱意あふれる出版物でむしろこちらからも全面協力を願い出た次第。さっそく書店流通にも詳しいT社O社長も呼んで会社の近所の焼き鳥屋『炭火鶏Diningぼんちゃん』で打ち合わせかたがた会食。好きな雑誌を立ち上げたYD社長にまずは祝杯を挙げる。

●2月3日
巷では朝青龍の引退問題で大揺れ。恒例の寺社での豆まきもキャンセルになったなんてNEWSをテレビで見ていたらやおら向かいのデザイン会社のAkiさんとST社の女性編集者のKB嬢が豆まきに乱入してきたのでびっくり。部屋中豆だらけになってぼやいていたらAkiさんの事務所に恵方巻きもあるのでとお誘いを受け、こちらももらいもんの黒糖焼酎を手土産にご相伴に預かりに行く。なかなか恵方に向かって物言わずに太巻きを食べるのは難しかったがなんとか商売繁盛を祈ってかぶりつく。

●2月8日
TN社のNK氏とフリーの営業マンHR氏と品川プリンスホテルでランチミーティング。ホテル内の『24cafe』に入ると、10ドルでステーキランチが食べられるという。ホテルらしくこの日のレートで値段が決まる趣向だが、たまたまここ何日かのドル安もあって得した気分になる。自分の外債の投資信託ではドル安はありがたくないのだが、せめてもの憂さ晴らしでボリュームたっぷりのステーキを賞味する。夜は漫画家のOK嬢と仕事の打ち合わせ。神保町の庶民的かつ旨い街中中華料理の『大興』で食事後、『明治屋2nd』で軽呑み。

●2月9日
AJ誌のIT嬢、フリーライターのYS嬢と緊急の仕事の打ち合わせ。あまり楽しい話ではなかったのだが飯でも食べて気分を治そうと寧波料理の『源来軒』へ。昨夜の『大興』でも食べたのだが2日続けて熱々の“おこげ”を食す。どちらも甲乙つけがたいが、甕だし紹興酒との相性で『源来軒』のほうに軍配を上げたい。

●2月12日
神保町の同業者のST企画MT社長とMD印刷のOG社長が、『明治屋2nd』で常連のIM嬢とST嬢を誘って小川町の老舗居酒屋『みますや』で宴席を張るということでお誘いを受け、忙しい合間を縫って遅れての参加とあいなった。若い女性との呑み会ということで既にすっかり上機嫌で酔っ払っていたOG社長は、2次会はいきつけの湯島のキャバクラに行こう!と怪気炎をあげる。こんなオヤジパワーにさすがにビビッたか女性二人は岐路に着き、残ったオヤジ3人で湯島の高級キャバクラ『コットンクラブ』に繰り出すことに。勢いあまってさらにOG社長のおごりでクラブ『メモリー』にハシゴ、上海出身の小姐たちと中国語のカラオケレッスンですっかり自分だけ盛り上がってしまう。OG社長すっかりゴチになりました。

●2月14日
この週は東アジア選手権があったので休日はサッカー観戦が続いたが、最終日は因縁の日韓戦ということで試合前に、海外観戦で知り合ったオールドサポーターたちとのオフ会があって、国立競技場に程近いペルー料理のレストラン『TIA SUSANA』に集結。ペルー料理ということで店内は南米サッカー一色でサッカー好きにはたまらない店。皆さんと昔話ですっかり盛り上がって、キックオフ直前に競技場へ。この日は友人のHT氏に加え『明治屋2nd』のマスターご夫妻も一緒の観戦だったが、残念ながら最悪の試合を見せられる羽目になり意気消沈。さっきまでの楽しい語らいはなんだったのか、憂さ晴らしもかねて終了後は四谷三丁目の『やきとん・なべ居酒屋 花唄』で残念会。それにしても大丈夫か?岡田ジャパン。

2010年2月15日月曜日

対症療法しかないけど


1967年以来の代表サポとして思えば、この40年間で色々な記憶に残る試合があった。
もちろんメキシコ五輪の予選や、ドーハ、ジョホールバール、3度にわたるワールドカップ本大会などのビッグゲームは当然だが、親善試合やアジアローカル選手権にしても忘れられない試合は沢山ある。それは必ずしも勝利に酔った試合だけではなく苦い思いを味わった試合も含めての話であり、Jリーグ以前ではその嫌な記憶の試合の方がむしろ多かった。

昨夜は日韓戦の試合前にそんな苦楽を共にした昔話を語れるオールドサポーターたちとの会合があって、楽しいひとと時を過ごした。その数時間後にまたまた記憶に残る試合にでくわすことになるとはそのときは思ってもいなかった…。

敗北自体はいいとして、また東アジアのタイトル自体にそんなに固執するわけでもない。問題は4度目のワールドカップ本大会への直前でチームとしてその準備がまったく進んでいないということを思い知らされた試合として、昨夜の日韓戦は頭に焼きついた試合となってしまったことである。
いったいいままで何をやってきたのか、ベネズエラや香港相手であまりよく見えていなかったチームとしてのダメさ加減が、実力が伯仲するアジアの本大会出場国とのほぼ本気の試合でこんなにはっきりと見せつけられれば失望も大きいし先行きが本当に心配になってしまう。

どこかのメディアのブログでも指摘されていたが、一番の問題は韓国と違っていかに国内組といえどメンバーがいつも固定されていて競争原理が働かないこと。点が取れないFWは代表から落ちるのがごく当たり前といえば当たり前だ。かりに大久保が韓国にいたら彼は2008年以来Aマッチノーゴールという事実だけで代表招集はされないはずだ。また、タレントが揃っていると言われる中盤にしたって、ならば誰が生き残れるのか必死にしのぎを削るはずだ。“岡田ジャパン”にはそんな厳しさが全く気配すらない。状況に応じた試合運びや攻撃の工夫はもちろんなのだが、それ以前の“闘う集団”としての前提からして出来ていないことに、たまらなく不安を感じてしまうのだ。
いみじくも「このメンバーに海外組を加えれば」と岡田はコメントしていたが、結局はそれだけのボトムアップしか策がなく、それでオランダとデンマークとカメルーンに勝ち、決勝トーナメントでブラジルやアルゼンチンに勝とう(ベスト4になるためには)ということなのだろうか。笑止である!

犬飼会長はこの時期の指揮官更迭のリスクから続投を示唆していたが、確かにこの時期で劇的な戦力向上があるとは思えない。だがしかしこのまま座して死を待つわけにはいかないだろう。病巣部には対症療法で対応するしか延命できないのなら最善の治療をするべきだ。たとえその結果がおもわしくなくともである。

2010年2月12日金曜日

雨の香港戦


前途大いに心配な日本代表。

ゴール欠乏症もさることながら、岡田の選手起用や戦術的な施策がよくわからない。さらにメディアには(もちろん応えたくないこともあるだろうが)、やるべきことをやっていくだけというような元も子もないようなコメントに終始するから、またまたこのままで大丈夫なんだろうかとの疑心が高まる。

昨夜の香港戦、2月の極寒に雨という最悪のコンディションで客を集めようったって集まるもんじゃないが、少なくとも内容のある胸のすくような勝ち方を見せてくれればまだ頑張って観に行きたいと思うというもんだ。かくいう当方もさすがにビビって後半からだけ駆け付けたが、イライラが積もるあまり少数ながら一生懸命けなげに応援している香港サポの近所で一緒に香港の健闘を祈っていた。

結果はこぼれ球2回とセットプレーでの3点。がちがちに守っていた香港のディフェンスラインを崩し切っての得点はついにできなかった。
タイトルの行方は、この得失点差では韓国との最終戦に勝った上で中国×香港の結果次第ということになるが、まあ協会は別でも同じ国家に属しているからあまり香港に期待はかけられないだろう(韓国人監督のキム・パンゴンは手は抜かないとは思うが)。
少なくとも、最終戦は手負いの虎相手にスカッとした戦いで勝ってもらいたい。なんとかこの不安を払しょくさせてくれ!

2010年2月7日日曜日

ガクガクブルブル


寒い!寒すぎた!

昨夜は味スタの中国戦、東アジア選手権の初戦である。
ただでさえ都心から2~3度低い郊外の立地に、ここの所続いていた冬型の天候である。
寒地用の防寒コートに毛布やホカロンを装備して出かけたが、気温2度,体感気温は確実に0度以下、北風も容赦なく吹きつけ座っているだけで歯の根も合わぬほど震えがくる。

こんな環境にもかかわらず2万5千あまりの観客は少ないとはいえないぞ。これもあと100日あまりに迫ったワールドカップへの期待値の高さだ。監督も選手もシーズンのハザマの調子が上がらない時期とはいえ、そろそろエンジンをかける時期じゃないか。南アに連れて行く選手の選考も兼ねているわけだから、国内組みはそれこそサバイバルに必至なはずである。しかも先週のベネズエラとの親善試合はまだしも、ローカルとはいえ結構レベルの高い東アジアのタイトルがかかった試合だけに本気モードでの戦いを期待してしまうのも至極当たり前なことである。

しかし、極寒の寒さは試合が終わったときに倍増してしまった。
日本は中盤からのビルドアップで結構ボールを支配するものの、高さを誇る中国DF陣の密集地に安易に放り込む、ダーティーかつ強さで抗日に燃える180を超える赤壁にちびっこFWを競わせてどうすんねん?
それでもサイドから勝負して玉田、大久保にうまくつないでも、いつもながらのお粗末なフィニッシュ。ため息の連発である。平山投入も得点のにおいはしないし、佐藤寿人入れるならもっと早く入れないと5分で仕事ができるわけがない。逆にカウンターで危ない局面もつくられ、この試合最大の見せ場、相手のPKを楢崎がファインセーブで止め命拾いしたが、へたすりゃゲームを落とすところだった。もう個々のレベルを言ってもせんないが無策すぎだろう岡ちゃん。ベスト4宣言を思うとますます寒さがいや増す。

期せずして起こるサポーターからのブーイングも当たり前だのクラッカーだ。
オランダでもデンマークでもない、カメルーンにもはるかに及ばない相手に180分連続ノーゴールという結果もお粗末だが、根本的なサッカーの質の問題でまったく本大会に出るのが怖くなるような内容だ。
こんなこといっても今更だし、死んだ子の歳数えても仕方ないけど(死んじゃいないか)、オシム信者といわれようが、アジアカップ敗退という負の遺産があるといわれようが、オシムだったらこんなチームにしていなかっただろうなあ。とつくづく思うよ実際。

模擬試験はまだまだ続く。香港、韓国、今週からの2連戦とアジアカップ予選のバーレーン戦。日程での泣き言を言う前にちゃんと結果を出せってーの。ワールドカップを控えて強いところとやりたいという気持ちは分かるが、それ以前にやるべきことが山ほどある。協会も協会だ。戦略、戦術、スキルアップ、メンタルトレーニング、スカウティング、総力を挙げて今の連中を少しでも鍛えるしかないし、特効薬なんてない。今まで何やっていたんだろう。

それに比べてなでしこの2-0勝利は立派の一言。先制弾となった宮間のFKの思いっきりの良いシュートは胸がすく。いまの男子のFW陣で誰が蹴れるよ、ほんと。

2010年2月1日月曜日

週間呑みアルキスト1.18~1.31


●1月18日
ポリープを切って1週間禁酒を申し渡されていたため、この週から徐々にアルコールを解禁することに。とりあえずは隣の『明治屋2nd』に立ち寄って1杯だけホットウイスキーを試してみる。久々のアルコール注入でコップから立ち上るウイスキーの匂いだけで酔ったような気分になる。まああまり無理は禁物とならしながらの呑みアルキ再開ということに。

●1月19日
デザイン会社MM社のO社長からの提案で、編集や企画制作にたずさわる会社4社の代表者を交え、緩やかなお仕事コンソーシアムを組もうという趣旨で定期的な情報交換会を開催することに。この日はその1回目で新宿富久町の『炭火焼和風ダイニング 然』に各社のメンバーが集まった。単なる親睦の飲み会にもう少し仕事の提案なりをからめようと、結構前向きな意見もどんどんと飛び交い一応の成果に一同満足。出版氷河期にこのようにお互いの協力は今後ますます必要になってくるだろう。ただ、酒の席で談論活発ではあったが酔いがさめて忘れていったら意味がない。自戒をの念をこめて心しなければ。次回の幹事社に指名されて2月は神保町で開催の運びに。

●1月28日
元KS社のKJ氏とスポーツカメラマンのKT氏と打ち合わせかたがた会食。『明治屋2nd』で落ち合った後、西安刀削麺で有名な水道橋の中華料理『鐘楼』へ。紹興酒を2本空けて、久々の深酒ですっかりいい気分になってしまう。KJ氏はまだまだ序の口とすずらん通りの『日比谷バー神保町店』へハシゴ。ラッキーにも入店から1時間で閉店時間となり、呑み足らなさげのKJ氏だったが終電前で散会。

●1月29日
一昨年惜しまれつつ休刊したE誌の当時のスタッフたちと新年会。中目黒の目黒川べりに情緒ある日本家屋で店を構える鶏料理店の『はし田屋』で鶏鍋をつつく。白味噌ベース、塩ベースと両方の味付けの鍋を試すがなかなか美味。味噌味の〆は雑炊、塩鍋では卵白でといた山芋を雪見ふうにしたものだったがこれもイケル。若手カメラマン(といっても30代)はさらにお店名物の親子丼を注文。これも美味そうだったが年寄りは(なんと最年長だった!)すでに満腹状態だったので次の機会にすることに。桜の季節にはここの景観は一段と趣があるのだろう。聞けば予約でいっぱいになるそうなので早めに問い合わせてみるのがよさそうだ。

●1月31日
仕事のトラブルもあって日曜日に緊急の打ち合わせで、神保町のご近所の制作会社ST企画へ。午後いっぱい対策を練ったりアイデアだしをしたりで仕事をたっぷりした気分。打ち合わせ後は事務所に戻って雑事をしようと思っていたがST企画のMT社長に軽く一杯と誘われる。日曜日の神保町は結構しまっている店も多いので、たまたま営業していた中華料理店『上海美食 酔仙飯店』へ。この日の朝に健康診断の結果を渡されメタボの保健指導を受けていたばかりで食生活にかなりの問題を指摘されていたが、さっそく問題たっぷりの夕食メニューで前途は多難だ。