2008年7月31日木曜日

本屋がなくなるなんて


出版不況が身にしみる今日この頃、辛いのは何も作り手の側だけのことではない。売り手のほうも大変なのである。

青山ブックセンターがピンチらしい。一度、親会社の不動産部門の失敗で窮地に陥ったが、取次ぎの洋販の支援で何とか破産を免れていた。今回はその洋販が負債額65億円で破産宣告したそうである。青山ブックセンター自体の業績が悪いわけではないので何ともツイていない。洋販は流水書房も傘下にしているのでこちらもヤバイのだろうか。
やはりネットで書籍を注文する時代になって、リアルショップはどこでも辛くなっているのだろう。

青山ブックセンターはデザイン系の書籍の宝庫だし、朝までやっているし、店員さんのPOPは凄く参考になるし、無くなったら困るなあとは思うものの、神保町にいると六本木に行くことだって(飲みは別だけど)そうそう頻繁にあるわけではないので、お前が売り上げに貢献したかというと何も言えない。

確かにネットは便利だし、レイ・ブラッドベリの『華氏451』みたいに活字がなくなってしまうわけではないので、流通形態が時代とともに変わっていくのはある程度やむをえないのかもしれないが、ビブリオマニアとしては書店という居心地の良い空間が失われてしまうのは耐え難いものがある。『シネマと書店とスタジアム』という沢木耕太郎の書籍が出版されたとき、“まさに自分のフィールド”と共感したものだ。

大型書店でも倒産の憂き目に会う時代に、ましてや個人経営の街の本屋さんが店を畳んでしまうのはもう止められないことなのかもしれない。そんなことを思いながらたまたま所用で出かけた新井薬師駅の商店街を歩いていたら、典型的な小さな街の本屋さんを見かけた。しかも2軒。何かとっても懐かしい気分で引き戸を開けておじさんがレジにぽつんと座る店内に入ってみた。長居をするとハタキをかけられるかもしれないので、いつもはあまり買わない週刊誌を選んで買って出た。果たしていつまでこの店も頑張れるのだろうか。

よし!明日は、六本木まで足を伸ばしてみるか。神保町にも当然というか書店には困らないのだが、やはり気持ちだけでも連帯を示したい。あ、それと八王子の啓文堂にも行ってあげなければね。交通費かかるなあ。

2008年7月27日日曜日

完全アウェイの夜


土曜日、野球観戦のお誘いを受け東京ドームへ「巨人×ヤクルト」戦を観にいった。
私は生来のアンチ巨人なので、こと巨人戦に限っては東京ドームの一塁側席にはめったに行くことは無い。巨人戦を一塁側で観たのは、もう30年くらい前のやはり招待を受けて行った時のこと。確か太平洋から移籍したばかりの加藤初が先発だった。

今回の席は、一塁側内野席だがほぼ右翼外野席に近くいわゆる応援団席の一端である。当然にして周囲は巨人のユニフォームをまとった連中だらけで、居心地悪いことこの上ない。私にしてみれば最悪といってよい環境である。完全アウェイとはこのことだ。
しかしいつもと違う目線で周囲を見るのは新鮮といえば新鮮だった。
まず一塁側の指定席にビールを売りに来る売り子さんは、なぜか綺麗な子が多い気がする(あまり根拠は無いが)。応援に関しても、3桁~4桁の背番号をつけてるユニフォームをまとった連中が何人もいたので聞くと、ファンクラブの企画で自分の名前と希望の番号(抽選らしい)をつけられるキャンペーンがあるそうだ。これなんか阪神でやってくれればすぐ応募したいぞ。小笠原の打席では小笠原諸島の親善大使をつとめることに敬意を表してか皆でイルカの人形を振って応援したり(日ハム時代から継続しているそうだ)、選手に対してのコールも趣向を凝らしていてなかなか洗練されている。巨人の応援といえばダッグアウトの上に登った関谷某とかいう柄の悪いデブのおっさんが三三七拍子を強要していた時代から見れば隔世の感がある(っていつの時代だよ)。

試合は、先発・増渕の好投もあってヤクルトが5回まで4-0とリードしていたので、声には出さないが秘かにほくそえんでいた。二軍から昇格したばかりの李承燁は全く振れていないし、話題の人・ニ岡もやはりまだ立ち直っていないのか全く精彩を欠いていて、唯一注意しなければいけなかったのはラミレスくらい。こりゃ、ビールも美味いというもんだ。
増渕は5回を過ぎ勝ち投手の権利をつかむと、後続に託しお役御免になった。しかしその後がいけなかった。
中継ぎ陣が次々と滅多打ちされあっさり逆転。終わってみれば12点取られて大敗していた。

アンチ巨人にとってはくそ面白くも無い野球観戦だったが、この試合でまあ敵ながら良かったと思ったのは上原の復活。中継ぎで登板し1回を三者凡退に切ってとった。今まではいかにも腕が振れていない感じがしたが速球も自信を持って投げ込んでいたし、変化球の切れもよく気合の入った久々にいい投球だった。
この時期の上原の復調は間近に迫った北京五輪の代表チームにはこのうえない朗報である。昼間、IBAFの突然の延長ターンオーバー制採用に激怒していた星野監督も少しは機嫌を直したはずだ。

ちょっとまてよ、日本代表の主将でもあるヤクルト宮本が、すべては代表に良かれと思ってわざと花を持たせた…、なんてことはないよな、やっぱり。

2008年7月23日水曜日

暑いが美味い



しかし暑い。
梅雨明けとともに異常な暑さの日が続く。今日は東京も38度を超えた。
日本は確実に亜熱帯になってしまった。
確かに地球の将来が不安になる今日この頃である。

だがしかし、暑けりゃ暑いほどビールが美味く感じるのは、地球に対して後ろめたくはあるが仕方が無い。酒呑みの悲しいサガなのである。

昨日は仕事で世話になっているOSさん、KGさんという女性二人を引き連れ品川港南口に5月にオープンした『タイムシャワーブリュアリー』というビヤホールに飛び込んだ。以前夕刊紙で記事が載っていたのでめぼしをつけていたのだが、ベルギー&ドイツビールを中心に約50種のビールが楽しめる店だ。特にヒューガルテンのホワイトビールの生が味わえるのが嬉しい。しかも料理も芝浦の食肉市場に隣接している地の利を生かし、新鮮な肉類の鉄板焼きがなんとも美味い。

そういやこの近辺は食肉工場に勤める人たち相手の立ち飲み屋とかも多かった場所だが、品川駅ビルの大変貌とインテリジェントビルの大林立で街自体がビジネスピープルのたまり場と化してしまった感があり、この店のコンセプトなんざ、ウォール街にあってもおかしくない様相だぜ。
オヤジサラリーマンのサンクチュアリ=新橋とは明らかに種族を異にするネクタイ族で店内はいつしか満員になっていた。

2008年7月21日月曜日

あるプロカメラマンを偲ぶ

以前在籍していた会社の写真部のNカメラマンが心筋梗塞で急逝されてしまった。
休日に長らく会っていない昔の会社の人から自宅に電話がかかってくると、往々にしてあまりいい話ではないが、今回も嫌な予感は的中してしまった。

Nカメラマンは数歳年上の先輩で、「明星」「平凡」華やかし頃から芸能畑専門で活躍されて来たベテランである。仕事ではあまりシャッターをバシャバシャ切らず、こちらがちょっと心配になるくらいだったが出来上がりは確かな職人肌の人だった。仕事以外でも麻雀やゴルフで業界の人と親しく付き合い顔も広く、それ以上にいつも笑顔を絶やさない人柄で若い記者からも慕われる人だったように思う。以前大病をしてしまったが、好きだった酒もタバコもやめて最近はすっかり元気になったと人づてに聞いていただけに、突然の悲報に声も出なかった。

とりもなおさず昨夜お通夜に駆けつけた。会場が自宅から歩いていける近くのお寺の会館だったので時間通りに行くと、すでに大勢の人が焼香の列に並んでいて故人の人柄が偲ばれた。祭壇の遺影はいつもの笑顔でわざわざありがとうと語りかけてくるようで泣けてしまった。撮る側のプロは撮られる写真の顔も素敵だった。

30年以上にわたる雑誌の仕事で、作品で名を成すことも無く個展や個人の写真集を出すことも無かったが、最近、子供番組の戦隊もののスターたちのムック本を出したのが唯一の著作物となった。しかしながら彼は、ファインダーを通し1970年代からの芸能やスポーツの現場にいつも立会い、その時代の一端を切り取り続けてきたのだ。彼が撮った無数の写真は幾多の雑誌を通し、それこそ膨大な数の人の目に触れ続けてきたのである。そのプロフェッショナルな仕事の評価は決して貶められることは無い。

Nさん、長い間お疲れ様でした。これからも笑顔のイメージを胸に抱き続けていきます。
どうかやすらかに、ご冥福をお祈りいたします。
合掌。

2008年7月19日土曜日

スペインユーロ優勝記念食事会


スポーツカメラマンの北川外志広さんと久しぶりに食事をした。北川さんは河口湖に自宅があってしばらく東京の仕事場を離れて自宅に戻っていたそうで、すっかり日焼けしていた。
北川さんとは昨年末台湾で行われた野球の北京五輪最終予選に同行させていただいた。本大会はフリーのカメラマンには取材パスは出ないので、日本でテレビ観戦するそうだ。陸上競技、特にマラソンでは日本有数の人なのにもったいない話である。

四谷三丁目で待ち合わせて、荒木町のスペイン料理「La Taperia」へ出向く。先月観にいったeuro2008の話を聞かせて欲しいということだったので、優勝国にちなんでのチョイスだったが、店のオーナーシェフのカルロスもさぞかし機嫌がいいだろう(いつもだが)と踏んでのことである。

案の定、マドリッド出身のカルロスは“うーん、いつも駄目だったからほんと珍しいよ”と言いつつもやはり嬉しそう。44年ぶりのタイトルは阪神ファンにも似た屈折した歓喜なのかもしれない。

お店のほうは連休前の週末とあって満員状態。予約をしていなかったのであやうく入れないところだったが、2人だけなのでなんとか席をつくってもらう。ここのタパス(小皿料理)は定評があって在日スペイン人も多くやってくる。まずはホワイトアスパラガスのアンチョビサラダをオードブルにし、ハモン入りのコロッケやイカの墨煮、トリッパと豆のトマトソース煮などを試したが、どれも素晴らしくパエージャを注文する前に腹が一杯になってしまった。しかもセルべッサ、リオハワインのフルボトルを頼んで一人頭6000円はリーズナブルだろう。

北川さんのいつもながらのスポーツ界の裏話も聞けて本当に楽しい一夜となった。



2008年7月18日金曜日

消え行くコマ劇場でシャウトする  劇団新感線


昨夜は久々芝居を観にいく。
ずいぶんと前に、演劇好きの若いライターの女性のお誘いもあって前売りを買ってもらっておいたのだが確かに前評判が高く、一部の当日券(見切り席)を除いてキャパ2千のコマ劇場にもかかわらずすぐにソールドアウトだったそうである。
観にいったのは劇団☆新感線の『五右衛門ロック』。主演の古田新太に加え、松雪泰子、江口洋介、北大路欣也、川平慈英、濱田マリ、森山未來といった豪華客演陣を迎えての4時間にわたる(20分の休憩はさむ)一大音楽劇である。

4時間という長丁場は相当身体にこたえるかなと心配していたが、なんの、歌あり、踊りあり、活劇あり、笑いありーので、息つく間もない。まあ、あまり考えないで済むエンタテインメントとしては充分楽しめた。

豪華キャストの見所をこれでもかと用意しているだけあって、主役の古田新太の五右衛門の存在感が希薄になってしまうほどだったのだが川平慈英と右近健一扮するイスパニア商人の怪演振りはなかなか笑かした。江口洋介や松雪泰子の三のセンも結構良い味を出していたし歌が上手いのも驚きだった。
席が前から3列目という舞台の至近距離だったので、役者の表情がよく判るのは良いのだが、コマ劇場の名前の由来となる巨大な回転式円筒状のせりあがりも舞台に近すぎて視界からはずれてしまうし、客席の通路を使う演出も多かったので振り返って追わなければならなかったのが難といえば難だったかもしれない。

アフターステージは芝居系ということもあって、同行のお嬢さん方3人をお連れして三丁目の『かり屋』に空腹を満たしに行ったのだが、両手に余る花というよりも傍から見れば女子大生を引率するセクハラ教授ぽい構図なのかもしれん。こちとら新感線も初めてでハナから最近の演劇の話題なんぞにゃ付いていけるわけもなし、いきおいテラヤマだの第七病棟だのと、いにしえの昔話をついついカタッテしまうというオヤジの本領発揮。これも悲しい年寄りのサガゆえどうか堪忍してくだされ。

いきなり鬱

ブログ開設にあたって日記のネタ探しているまさにその最中に、仕事のクレームが発生。
刷り上ったばっかりのH紙の広告タイアップページで痛恨の表記ミス発見。クライアントは激怒りで平身低頭するも久々に語気荒く怒られまくってしまったorz

本当に単純な表記ミスだが、それだけに申し開きも出来ない。前号もミスがあったので気をつけてはいたのだが、こんどは大丈夫だろうと思っていた部分で魔が差したように誤表記を見過ごしてしまった。

来週早々、朝一番で先方にスタッフ一同雁首揃えて土下座しに行かねばならなくなった。
当然謝罪と賠償ということになるかもしれない。
謝罪と賠償=実に嫌な言葉だ。

戦後延々と言われ続けて政府関係者に少しシンパシーを感じてしまった。

でもまあ、何とかならなかった例はないぜ、をモットーにここ何日かは忍の一字である。