2008年7月21日月曜日

あるプロカメラマンを偲ぶ

以前在籍していた会社の写真部のNカメラマンが心筋梗塞で急逝されてしまった。
休日に長らく会っていない昔の会社の人から自宅に電話がかかってくると、往々にしてあまりいい話ではないが、今回も嫌な予感は的中してしまった。

Nカメラマンは数歳年上の先輩で、「明星」「平凡」華やかし頃から芸能畑専門で活躍されて来たベテランである。仕事ではあまりシャッターをバシャバシャ切らず、こちらがちょっと心配になるくらいだったが出来上がりは確かな職人肌の人だった。仕事以外でも麻雀やゴルフで業界の人と親しく付き合い顔も広く、それ以上にいつも笑顔を絶やさない人柄で若い記者からも慕われる人だったように思う。以前大病をしてしまったが、好きだった酒もタバコもやめて最近はすっかり元気になったと人づてに聞いていただけに、突然の悲報に声も出なかった。

とりもなおさず昨夜お通夜に駆けつけた。会場が自宅から歩いていける近くのお寺の会館だったので時間通りに行くと、すでに大勢の人が焼香の列に並んでいて故人の人柄が偲ばれた。祭壇の遺影はいつもの笑顔でわざわざありがとうと語りかけてくるようで泣けてしまった。撮る側のプロは撮られる写真の顔も素敵だった。

30年以上にわたる雑誌の仕事で、作品で名を成すことも無く個展や個人の写真集を出すことも無かったが、最近、子供番組の戦隊もののスターたちのムック本を出したのが唯一の著作物となった。しかしながら彼は、ファインダーを通し1970年代からの芸能やスポーツの現場にいつも立会い、その時代の一端を切り取り続けてきたのだ。彼が撮った無数の写真は幾多の雑誌を通し、それこそ膨大な数の人の目に触れ続けてきたのである。そのプロフェッショナルな仕事の評価は決して貶められることは無い。

Nさん、長い間お疲れ様でした。これからも笑顔のイメージを胸に抱き続けていきます。
どうかやすらかに、ご冥福をお祈りいたします。
合掌。

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