2015年3月30日月曜日

農場視察

ここのところ福岡に本拠を置く某健康食品会社の仕事で、国内出張の機会があり、先週は島根の益田市までその会社の製品で使用する農場と加工工場を視察してきた。
工場は勿論食品を扱うので、見学者とはいえ外気の不純物を持ちこませないために厳重なチェック体制が義務付けられている。原発作業員のような防護服に着替え工程に従って部屋から部屋へ移動する際もすべて、ほこりを落とし手洗い消毒を課せられるのである。さらに虫や生物の混入が間違っても起きないように工場自体の構造も工夫されており、何重ものハードルが存在する。某国のように干からびたカエルが混入するなど、人為以外ではまずあり得ないのである。

農場も有機農法ということなので、手作業に負うところも多くいたるところで気を配られているし、天候や、虫、鳥類や野兎、イノシシといった外敵にも気を配らなければならないのだ、案内していただいた現場の方々の苦労は大変なものがあるのだろう。
農場と一口にいっても、最終的には製品出荷とリンクするわけなので、ただたんに育て収穫すれば済むというわけではない。販売状況に合わせた在庫管理や工場とのライン調整ともリンクするので、収穫量の調整は絶えず行われる。農業は厳密な数字にもとずく経営管理の一貫なのである。
手作業に頼る部分は大きいので、ファームで収穫に従事する働き手の人事管理も大事になってくる。作業開始前の朝礼や、一日の作業安全確認、ラジオ体操なども大事な日課なのだ。

日本の食に携わる企業の管理体制の素晴らしさを目の当たりにしてきたのだが、現場でまじめに取り組んでいる多くのスタッフの方々、農場で働く農家のおじさんおばさんの笑顔に接するに、なかなか日本人の仕事に取り組むひたむきさを感じて誇らしい気分にさせられてしまう。単にパッキングされ店頭で手にする商品の裏に、目に見えない多くの人々の関与があることを改めて思い知らされた機会となった。


2015年3月21日土曜日

大橋美加ライブ




取引先から回ってきたチケットで「赤坂bフラット」で行われたJAZZライブ、『大橋美加+松尾明&TakeTen featuring山本玲子 One Night Stand Live』を観に行く。
ヴォーカルの大橋美加はご存知大橋巨泉氏の愛娘、母親はマ―サ三宅という血統で実力は折り紙つき。松尾明&TakeTenも日本のジャズ界でそれぞれ活躍するベテランぞろいの9人編成オーケストラ。それに加え、山本玲子はバークレー音楽院を優秀な成績で出たという日本では珍しいJAZZビブラフォン奏者である。
なかなかのメンツでホレス・シルバー、バド・パウエル、デューク・エリントンといったインストの熱演に大橋のスタンダードという構成で楽しく楽しめる一夜だった。
2部構成だったが、1部終了時に幕間の時間が長かったので、一瞬勘定をして出ようと席を立ったが、休憩中(CD営業中)の大橋さんご本人から「もう少しで始まりますから、どうかお時間が許せば観て行ってください」と声をかけられ、ご本人から言われたとあっては聞かざるを得まいと席に戻ったが、引き続き始まった第2部もなかなかの熱演で残ってよかったと実感。特に山本玲子の華奢な身体にもかかわらず力強いビブラフォンは演奏に素晴らしいスパイスを利かせていて素晴らしかった。
帰り際、再び大橋さんから握手でお礼を言われ、すっかりお二人のファンになってしまう。
親しい人を亡くしたばかりだったのでビクター・ヤングが書いた『Beautiful Love』『My Foolish Heart』がちょっと心に染みる夜となった。

セットリスト
第1部
The Hippest Cat In Hollywood
Tempus Fugit
Goody Goody
Guilty
Beautiful Love
My Foolish Heart
Cotton Tail

第2部
Such Sweet Thunder
Sticks
Funny
Its Only A Paper Moon
My Heart Belongs To Daddy
Allright OK You Win
Someone's Rocking My Jazz Boat
 
(encole)
Rhythm-A-Ning
What A Wonderful Word






2015年3月17日火曜日

Kへ


1984年晩夏。

新宿のネオンのきらびやかな大通りを

君と急いで歩いていたね。

もうすぐ映画の最後の回が。始まってしまう。

勇壮な、勇壮なビル・コンティの調べ

サム・シェパードの孤独

あの時盗み見たスクリーンを見つめる君の横顔に

なぜか深い安堵をおぼえた

そんなフィルムのひと駒が鮮明に

まだ若かった君とその後過ごした何千時間の中でも

妙に鮮明に、思い出されてならないのだ。

 

1994年春。

愛していたひとを失った日

心が空洞になった夜

四谷の店の地下の止まり木で、

覚えているだろうか。

その空洞にそっと蓋をしてくれたことを。

それがどんなにささやかな気持ちであっても

あのときの赦しの気持ちを

あのときの情けない気持ちを

あのときの後悔を

いまだに、いまだに忘れることが出来ないでいる。

 

2007年冬

冬枯れの神宮の並木道を

国立競技場の人の流れとともに歩き

暖かいカフェの窓際に座り、

君が手をかけて育てた幼子の巣立ちを

深い嘆息とともに見送った。

過去の時間への愛惜と

これからやってくるだろう時間への不安と

あの時のはかなげな君の横顔も

遠くから聞こえるスタジアムの歓声とともに

これからも繰り返し思い出すに違いない。

 

2013年晩秋

黄色く色づいた公園の中にある

静かなレストランで

懐かしい仲間たちとの再会の時

君が思い出とともに悲しいストーリーの結末を語り

なすべきこともなく

君の決意に応えられない

無力さに言葉さえかけてあげることが出来なかった

あの日の吉祥寺の茜色の空が

涙で滲んでいたのを

君は気が付いていただろうか。

 

ああもう君はもういないんだね。

ああもうちぎれたフィルムは回ることが無いのか

物語の終焉が

いつかは来るのは判ってはいても

エンドロールが

多くの人の名前とともに

スクリーンに現れ消えても

再びカタカタと映写機が回らないのかと

いまは

まだ まだ 諦められずにいる。
 

 

2015年3月3日火曜日

週間呑みアルキスト2.1~2.28


●2月1日
久々に朝方まで事務所で作業。テレビの朝一番のニュースでISIS(イスラム国)に捕えられていた日本人ジャーナリストが殺害されたとの一報があり、何とも嫌な気分で家路に就く。彼が拘束されているのを承知で、イスラエルくんだりで西側十字軍への支援を脳天気に宣言していたどこかの国の首相の国際感覚のなさにあらためて嘆息する。日が高くなってもなかなか寝付けずもらいもんのウイスキーの力を借りる。

●2月2日
ノンフィクションライターFJ氏と会食。最近出版された書籍はどれも好調ということで忙しそうだが、神保町の居酒屋『福兆』で飲み食いし、渋谷の『グランドファーザーズ』とハシゴするころには完全にいい気分に。こっちは終電時刻が迫ったので先に辞したが、あとから聞くとFJ氏は店にいた外国人団体さんと意気投合、朝方近くまでどんちゃんやっていたとのこと。先に辞して大正解。

●2月3日
早稲田の穴八幡神社の御守り「陽来福」を深夜零時に事務所の恵方に貼る。終電近い時間だったのであわてて外に出るが、隣の『明治屋2nd』も『ラーメン二郎』も、みんな同様に貼っていたので可笑しくなる。みなさん商売繁盛でありますように。

●2月4日
台湾の金門行き復興航空機が松山空港を飛び立って間もなく基隆河に墜落したニュース。かつて何度か同機に乗ったことがあるのでびっくり。偶然高速道路を走っていて記録された墜落寸前の映像に見入ってしまった。なんだか嫌なニュースが続く。

●2月9日
静岡の放送局勤務の先輩ON氏のお誘いで有楽町へ。ガード下にあるサラリーマンでにぎわう居酒屋『ヒノマル食堂』でもつ鍋、2軒目は交通会館の地下にあるこじんまりとした日本酒バー『后バー有楽』へ。壁一面にジュリー・ロンドンのレコードジャケットがありつつ食い物飲み物はすべて和一色。「獺祭」「開運」と銘酒がズラリ。

●2月13日
午前中から仕事の打ち合わせで大崎へ、終了後デザイン会社のMM社OG社長とKR嬢で次の打ち合わせ移動の間を利用して新宿で昼食。小田急ミロードのモザイク通りのスペイン料理屋『パラドリーナ』でランチ。ワインを飲みたかったがぐっと我慢。といいながら珈琲マシーンの故障とかで珈琲もお預け。

●2月16日
午前中は銀座で座談会取材、午後は有明の病院取材ということで、朝から銀座界隈へ。まだお店も空いていないというのに銀座通りはアジアの買い物客がそぞろ歩いている。昼食はスタッフ陣と銀座は土橋のG10ビル内にあるオシャレな中華料理店『A・DINING』へ。ランチコースはどれもコスパよし、味はまあまあ。銀座グランドホテルのカフェ『ノーザンテラスダイナー』で時間つぶし。しかし昼間の銀座はあまり来ないのだが、すっかり変わってしまった感がある。

●2月19日
旧K社の後輩たちTN君、SM嬢、TM嬢、デザイナーNM嬢と吞み会で、新宿の燻製料理『ab!(アブ―)』へ。なんだかこそこそとおかしいと思っていたら、お店からケーキのプレゼントで「祝還暦」のデコレーションというサプライズ。赤いちゃんちゃんこは絶対拒否と思っていたがリバプールFCのネクタイとタイピンとあっては怒れない。ありがとうございました。

●2月21日
A誌の入稿で土曜出勤。遅くに戸締りした後、『明治屋2nd』へ立ち寄り。普段はスタンディングなのだが、この日は常連さんが2~3人ということで、イスを出してくれてまったりと過ごす。

●2月24日
曙橋MM社で打ち合わせの後、編集のOK氏とK社時代の先輩TMさんの経営する画廊カフェ『ゑいじう』へ。その足で新宿二丁目『t’s bar』。EB社のST氏、K社のグループ会社営業のDM氏と合流。

●2月25日
新橋第一ホテルで90歳の現役サッカー記者としてFIFA会長賞を受賞した賀川浩翁の祝賀パーティーにスポーツカメラマンのKG氏と出席。昨年ご自宅に取材に伺ったこともありサッカー界のお歴々をかきわけちょこんと貴賓席に座る賀川さんにご挨拶。KG氏と新橋烏森口の焼き鳥屋『きたがわ』で軽呑みしたあと、仕事の流れででざ淫会社MM社OG社長から呼び出しを受けて四谷三丁目のスペイン料理屋『タぺリア』に向かい、終電まで荒木町のスペインバル『カリーニョ』でワイン攻め。

●2月28日
『明治屋2nd』の常連さんたちとTV番組「孤独のグルメ」でも紹介された小岩の四川料理『珍々(ぜんぜん)』まで遠征。テレビで紹介されて以来予約の取れない人気店となったそうで、この日かお店に顔が利くOGさんに予約を取っていただいた。重慶出身の女将さんの家庭料理は山椒はたっぷり利いているものの思ったより辛くもなくなかなか美味。特に「じゃがとろ」は秀逸でした。