2013年1月10日木曜日

ハートウォームだけでいいものじゃないと思うけど


今年初の試写は、カナダはケベックローカルの映画『人生、ブラボー!』(原題STARBUCK)。
42歳の独身のダメ男が、ある日、過去に行った精子提供の結果533人の父親になっていて、そのうちの142人の子供たちから身元開示の訴訟を起こされたことを告げられるというストーリー。
彼はあわてて友人の弁護士とともに匿名守秘の反訴を準備するが、たまたま1人のプロフィールを見たら自分のひいきのサッカークラブのスター選手だったことで興味を持ち、何人かの子供たちに身分を隠して接触し始める…。
笑いあり涙ありのハートウォームコメディとしてトロント映画祭の観客賞を受賞し、ハリウッドでもスピルバーグのドリームワークスによってリメイクの話が進められているとのこと。実際親子の絆や、人への思いやりの大事さを訴えるエピソードも多く確かに心温まる作品ではある。ただし、不妊治療にまつわる依頼者側の立場がまったく棚上げされて、医療倫理や社会的な影響といった現実問題に全く触れていないのもいかがなものか、そんな疑問を一面感じてしまうのがちょっと残念なところ。
フランス語圏のケベック州の作品ゆえ、こころなしかフランス映画のエスプリも感じさせ、カナダではマイナーなサッカーが重要なファクターになっている地域性も個人的には興味深かった。監督は長編初メガホンのケン・スコット。
ちなみに原題のSTARBUCKはカナダの優秀な種付け牛の名だとか。

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