2008年12月19日金曜日

健闘は称えられるが


クラブワールドカップ準々決勝に“赤い悪魔”マンチェスターユナイテッド登場ということで、横浜国際競技場へ観に行く。この欧州チャンピオンに挑むのはACLを制したガンバ大阪。
実際レベルの差があるのは当然のこととして、どこまでくらいつけるかが焦点。昨年はレッズがミランに0-1で健闘したが、Cロナウド、ルーニー、テベス、ギグスといった破壊力はシャレにならないし、プレミアリーグは現在世界最高峰のリーグだ。さすがにどう考えてもガンバに勝ち目は無い。

ところが長旅の疲れもあるのか、立ち上がりマンUは意外とプレスをかけてこない。そこにボランチに入った遠藤を起点にサイドの安田が果敢に攻め上がり、また播戸の裏への飛出し動き出しも冴え、何度かチャンスをつかみ、惜しいシュートもあった。しかし、前半20分を過ぎだし徐々にエンジンがかかったマンU、Cロナウド、テベスが前を向いてボールを持つとガンバDF陣はあっという間に置いていかれてしまう。そしてセットプレーからあっという間に2点を献上してしまった。
“やっぱりねえ”
“虐殺開始か?”
スタジアム全体に諦めにも似たため息が漏れる。

しかしガンバは押されながらも反撃の機会を狙い続けた。後半29分、遠藤のスルーパスから橋本の折り返しを山崎がGKファンデルサールの壁を破った。
“お見事!”大会がトーナメント制になって以来初めて、準決で欧州のチームに失点させたのだ。
湧き上がるガンバサポーター席。
これに対して、試合を流しながら軽くプレーしていたマンUについに火がついた。ガンバの得点の余韻も冷めないうちにテベスに変わった真打ちルーニーがすぐさま驚異的なスピードで背後からのボールを胸で受けあっさり突き放すゴール。こうなるともう止まらない。その後、5分もしないうちにフレッチャー、ルーニーがガンバ守備陣を粉砕し加点してしまった。

これほどまでに差がつくとはと呆然とするガンバイレブンだったが、ここから彼らは「根性」を見せる。安田の切れ込みがネビルのハンドを誘いPKが与えられる。PK職人・遠藤がファンデルサールの指先を掠めて確実に決める。そしてロスタイムには橋本のミドルが飛び出し3点目をゲット。本気のマンUに対してひるむことなく2点差まで粘ったガンバの戦いぶりには正直よくやったと褒めていいだろう。観客も派手な点取り合戦にみな満足して帰路に着くことができた。

しかし5失点のすべての局面はいかんともしがたい失点で、まあ、このレベル差はどうしようもない。Cロナウド、テベス、ルーニーあたりがスピードに乗り出すとマーカーはついていけないし、枠にきっちり決めてくるシュートにGK藤ヶ谷は反応すら出来ない。セットプレーの高さ含めどれもこれもため息が出るような失点だった。試合後のファーガソン監督の賛辞に西野が社交辞令だろうと言ったのもよくわかる。現場としては完膚なきまでにやられたという意識の方が強いのだろう。

結果的にアジア代表としてまあ恥ずかしくない試合は出来たと言えるかもしれないが、この2点差を埋めるにはまだまだ遥かなる時間がかかる事を思い知らされた。
さて、決勝は日曜日。この日の戦いぶりを見る限りマンUの世界一は疑う余地は無いと思うのだが、ガンバよりははるかにレベルの高いディフェンス力を持つリガ・デ・キトがどこまで耐えられるか、今度は南米の誇りを見せてもらいたいものだ。

4 件のコメント:

ほかり さんのコメント...

こんにちわ。
私はサッカーにはそれほど精通しておりませんが、マンUとガンバ戦は実況を見ていました。後半に連続失点したときはもうアカンなサッカーの点差じゃなくなる恥ずかしいことになるのではと思いましたが、秋山さんのおっしゃる通りなんとか格好がついてホットしました。
ゴール前で一瞬のスピードがあれだけ違うものだな~と、レベルの差はわかっていてもそう思います。
マンUは全体的に見て秋山さんは10の内何点ぐらいガンバに本気度あったと思われますか?

秋山光次 さんのコメント...

>ゴール前で一瞬のスピードがあれだけ違うものだな~
その通りですねえ。

実は戦術とかの前に、個々の能力でボールを止める、強く正確なパスを出せる、視野を広く見れる、そしてスピードといった基本部分でもの凄いレベル差があると思っています。

それでも、ガンバは臆することなく戦った事は確かですね。
マンUは決勝をにらんで70%くらいで流せて勝てたらよかったと思っていたんでしょうけど(前半はそんな感じでした)後半失点してからはほぼ100%本気だったと思いますよ。

ほかり さんのコメント...

そうですか・・
戦術の前に個々の能力、全くその通りだと思います。
この能力は彼ら欧米人とアジア人のなぜかわかりませんが永遠に追いつけるとは思えないのですが。
さすがのマンUもゴールをされると100%の戦闘力が知らずと出るんですね。
激しいコンタクトの場面なんかは自然と鬼顔になり手は抜けないと思います。
わかったようなことを書いたりしてすみません。

秋山光次 さんのコメント...

ほかりさん

精通しておられないと言いつつ、なかなか鋭い観察ですね。

個々の能力でいえば総論としてはおっしゃるとおりです。私も永遠に日本人はトラップやシュートが上手くならないんじゃないかと思ってしまいます。

それでも日本人選手でも、今回の朴智星とか他のアジア人でもでも、通用する選手もいるわけですから、人種的な問題であながちまったく追いつけないわけではないと思いますけどねえ。

おそらく文化の差というか総体的なものが違うんでしょうね。