2008年12月24日水曜日

東京タワーのお土産


東京タワーが出来て50周年なんだそうである。昨夜は様々なイベントが行われた由報道されていたが、確かに多くの人々がタワーに寄せる感慨、思い出があることだろう。
わが身に置き換えてみてもタワーが出来た当初(おそらく昭和35年頃だった)に一家で出かけた覚えがあり、展望台にのぼりその高さに身がすくむ思いをしたのを覚えている。一昨年亡くなった叔母がまだ20代で、ハイヒールをはいて幼児だった妹を抱きかかえ何百段も階段を下りたとその日のことを生前よく述懐していた。

20年ほど前に九州の田舎から中学生になった従兄弟が初めて一人で上京した際、東京見物に連れて行きお約束の東京タワーにも上ったことがある。彼が買った初めての東京のお土産は売店での東京タワーの置物だった。陳列されたケースを食い入るように見つめて両手いっぱいに大人から見ればガラクタにしか思えないお土産を抱えた坊主頭の田舎まるだしの中学生を見て、売店の売り子のオバさんが思わず売り物の紙袋を“これに入れなさい”と渡してくれて、つきそいとしてはすっかり恐縮してしまった。
その帰り路、東京タワーからつけ待ちのタクシーに乗って新宿まで都心を横断した。銀座や皇居、官庁街を窓の中からあれこれ教えてあげていると、今度は年配の運転手さんが“東京見物ですか。いやあ、自分が集団就職で上京したときのこと思い出しますなあ”とメーターをとめて、色々と遠回りをしてくれて思いつく名所に寄ってくれて更に恐縮した。
本当に口が重たい純朴な少年だったので、彼を見ているうちに売店のオバさんもタクシーの運転手さんも自身の「昭和」を投影させてしまったのかもしれない。
おそらく、幾千、幾万のこんな小さな思い出話が東京タワー50年の歴史にはあるのだろう。そんなことをニュース映像を見ながら思い出していた。

その中学生もその後、地元の大学を出て半導体輸出の会社の駐在員として現在イタリアに赴任しているそうである。彼もそのときの東京タワーの思い出をまだ覚えているだろうか?

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