2012年10月23日火曜日

TIFF1本目 逆光飛翔

東京国際映画祭開幕。今年は3本ほどしか観ることができないが、昨夜は台湾映画『逆光飛翔(邦題 光にふれる)』を鑑賞。
台湾で全盲のピアニストとして実際に活躍している黄裕翔が本人役で主演(辻井伸行みたいな人)。台湾で初めて一般大学へ進学した彼の挑戦と、周りの人々のとまどいと暖かい目を描きながら、経済的問題から舞踊をあきらめているコーヒー店のバイト女性・小潔(張榕容)との邂逅と友情を通して、人生のポジティブな生き方を指し示すという内容。
全体的にはことさら大きなドラマが起こるわけでもなく、静かにストーリーが進行するが、その控えめな表現と音楽が心地よい。台北映画祭や釜山映画祭で観客賞を獲るなど映画ファンに広く受け入れられたのも素直な演出手法が逆に好感を呼んだのではないだろうか。 ルームメイト役で台湾の青春ものでお決まりのデブで良い奴という友だちキャラや、母親役の李烈も好演。
台湾映画の専門家・田村志津枝さんの著書で、『養鴨人家』(1965)はじめ台湾映画ではなぜか障害を持つ人を主人公とする映画が多い気がすると書いてあったが、この映画もその伝統に即しているのかもしれない。実際、日常的にも義捐活動は街中でよく目にする。東日本震災でも発揮された台湾社会に通底する優しさみたいなものの一端がこの映画からも感じさせられるような気がした。
しかし主会場が六本木ヒルズに移って以来、映画祭っぽさがまったく感じられなくなったが、帰りがけ、昔の仕事仲間からタイミングよくはかったように西麻布での飲み会へのお誘いを受ける。たまにはヒルズでもいいことがあるもんだ。

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