2010年7月10日土曜日

ラウンド16 レベルの高い好ゲームが展開


日本代表ベスト16入りの壮挙は今大会をより面白くさせたのは確かだが、ここまでフランス、イタリアの不調や南米勢の伸張、アウトサイダーと思われた新興国の健闘など、今回の南アフリカ大会はワールドカップの面白さを十二分に感じる大会となったのではないだろうか。グループリーグのスリリングな星取りも終わり、いよいよ一発勝負の決勝トーナメントに突入した。組み合わせの妙というか決勝のカードでも良いような優勝候補国がトーナメントの初戦からいきなり対戦したりもするのもうれしいような惜しいような気がするが、大会もいよいよ佳境、頂点に立つのはどの国か?強豪同士の生き残りをかけた激戦に手に汗握る日々が続く。

6月26日
●ウルグアイ2-1韓国
歴代最強と謳われる韓国は、南米の古豪に対して開始早々から自信に満ちた攻勢を仕掛ける。しかしながらA組を1位抜けしたウルグアイは強固なディフェンスとスアレス、フォルランのカウンターで反撃し一進一退の激しい攻防が展開する。先手を取ったのはウルグアイ。フォルランのクロスをスアレスが押し込み、自慢の2トップでゴールを奪う。しかし韓国もひるむことなくポゼッションを支配しサイドからアタックを仕掛ける。
後半、韓国のFKからイ・チョンヨンが頭で決めて同点。さらに勢いづいて一段と攻勢に出るがウルグアイの粘り強い守備にチャンスをことごとくつぶされる。そうこうしているうちにCKからスアレスが決めて再びリードを許してしまう。韓国は終了間際にパク・チソンの折り返しからイ・ドングのミドルでゴールを捕らえるがウルグアイの必死のクリアでこの絶好機を逸して万事休す。韓国はここ10年で対ウルグアイ戦5連敗。またしてもこの壁を越えることは出来なかった。しかしNHKの韓国びいきの解説にうんざり。なぜ同じアジアということだけで一方的な身びいきをしなければならないのか理解できない。

●ガーナ2-1アメリカ
アフリカ勢で唯一決勝トーナメントに進んだガーナは圧倒的な応援を受け開始早々積極的に攻勢に出て、ボアテングが立ち上がりに先制弾を決める。試合が落ち着くとアメリカも持ち前のスピードで反撃、たまりかねたガーナDFはPKを与えてしまい、ドノバンが冷静に決めて試合を振り出しに戻す。その後両チームの一進一退の攻防が続くが90分で決着がつかず延長戦へ。足が止まりかけたガーナに対しアメリカの勝ち越しは時間の問題と思っていたが、ガーナのエースギャンが驚異的な身体能力を生かしてアメリカDFの裏へ飛び込み決勝弾を叩き込む。アメリカも最後まで全力を振り絞って追撃するもアルジェリア戦の奇跡の再現はならず力尽きる。

6月27日
●ドイツ4-1イングランド
欧州を代表する強豪同士の好カードとなったが、イングランドはグループリーグではあまり調子が上がらなかった。その好不調の差が出たのか序盤にドイツがクローゼの先制弾、ポドルスキーの追加弾でイングランドを突き放すが、イングランドもすかさずCKからアプソンが合わせて追い上げる。さらにランパードの強烈なミドルがドイツのバーを叩きゴールを割ったものの主審はノーゴールの判定、66年の因縁の決勝戦の逆をいく疑惑のゴールで同点のチャンスを逃してしまう。後半に入り前がかりになるイングランドの隙を突いてミュラーが立て続けにカウンターで得点し、気がつけば3点差でドイツの完勝。最後まで調子の上がらなかったイングランドに対しドイツのスキの無い強さが光った。しかしあのイングランドの幻のゴールが認められていたら試合の行くへはどうなっていたか、つくづく不思議な巡り合わせである。









●アルゼンチン3-1メキシコ
優勝候補筆頭のアルゼンチンに、メキシコは豊富な運動量で果敢に対抗する、しかしながらメッシ、テベスを止めるために守備に人数をかけざるを得ないので、なかなかポゼッションを取れない。アルゼンチンはメッシのミドルをテベスがDF陣の裏でボールを受けて先制。あきらかにオフサイドだったが主審も線審も見落としやらずもがなの1点を与えてしまう。動揺するメキシコにアルゼンチンの強力な攻撃陣はかさにかかって攻め、相手のミスパスからイグアインが2点目をゲットして前半を終える。後半メキシコも果敢に攻めるもののテベスの見事なロングシュートで3点目を決められ試合はほぼ決定してしまう。あきらめないメキシコはエルナンデスの得点で追いすがるが反撃もそこまで。エルナンデス、ドスサントスといったメキシコの若き才能の健闘は光ったものの、アルゼンチンの破壊力の前に粉砕されてしまった感じだ。イングランド×ドイツ戦に続きまたしても誤審が飛び出し試合の趣を壊してしまい、今後の判定基準に大きな論議を呼ぶことは間違いない。

6月28日
●オランダ2-1スロバキア
優勝候補のオランダが、分離独立後初出場で意気上がるスロバキアと対するが、やはり地力の差はいかんともしがたい。前の試合から復帰したロッベンがこの試合でも圧倒的な存在感で堅守のスロバキアDFを切り裂く。先制もロッベンがカウンターから持ち込んで強引にシュートしたもの。後半スロバキアも反撃に出るがFKからの素早いリスタートからスナイデルに追加点を決められてしまう。力をセーブしたオランダは終了間際PKで1点を返されるが危なげなくスロバキアの挑戦を退けた。

●ブラジル3-0チリ
南米同士の戦いとなったが、チリは優勝候補のブラジルに対し守備的にならずに積極的に攻撃を仕掛けていく。しかしCKからフアンに決められ先制を許すとブラジルが徐々にゲームを支配しだす。カカーとファビアーノの華麗なパス回しから追加点を取られると完全なブラジルペースに。後半はロビーニョが3点目を決め試合を決定つけると、あとは余裕のパス回しで無理をせず手堅く勝利する。ブラジルの優勝に向けたチーム力は万全と印象付けられた試合だった。

6月29日
●パラグアイ0-0(PK戦5-3)日本
史上初のベスト8進出の夢をかけ、日本は国民の期待を背負って未知の領域への戦いに挑んだ。守備的な日本はパラグアイにポゼッションを与えるものの決定機を与えず反撃のチャンスをうかがう。日本のカウンター攻撃にパラグアイも南米一の堅い守備で跳ね返し90分間ではジャブの応酬にとどまり、延長勝負となった。日本は今大会初の中村憲剛の投入で局面の打開を試みるが決定機はなかなか作れない。逆にパラグアイの反撃であわやのピンチを迎えてしまうが何とかしのぎきり、ついに大会初のPK戦に。3番手の駒野がボールをバーに当ててしまい、これで日本の夢はついえてしまった。日本の健闘は讃えられるものの試合はレベルの低さを露呈してしまい、トップのレベル差をつめるにはまだまだ時間がかかることを思い知らされる結果だったといえよう。

●スペイン1-0ポルトガル
イベリア半島対決。なかなか調子の上がらなかったスペインだったが持ち前のパスワークが復活、C・ロナウドをはじめとしたポルトガルのスピードと見ごたえのある攻防が繰り広げられる。それでもやはりスペインの全員の総合力はポルトガルに勝り、攻めあぐねるものの試合は完全にスペインのペースに。後半ビジャの得点が決まるとポルトガルは点をとりに出ざるを得なくなる。そのスペースにシャビ、イ二エスタ、セルヒオ・ラモスらが次々とパスを通してチャンスを作っていく。結局1-0のままスペインが8強入りを果たすが点差以上にゲームはスペインのものだった。あとはフェルナンド・トーレスの決定力さえ復調すればやはり優勝に限りなく近い位置にいることは間違いないようだ。

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