2010年7月11日日曜日

一番面白いベスト4への激闘を制したのは?


ワールドカップで一番面白いといわれる準々決勝。過去幾たびも歴史に残る名勝負が繰り広げられ、自分自身も今までワールドカップの現地観戦は決まって準々決勝を中心に観て来た。今回も「アルゼンチン×ドイツ」「オランダ×ブラジル」はじめなかなかの好カードが揃い、世界最高峰のサッカーを観る至福の時間を十分に満喫できた。南米4、欧州3、アフリカ1の8チームのうち頂点に立つのはどの国か?予断を許さない戦いは最高潮を迎える。

7月2日
●オランダ2-1ブラジル
74年大会オランダ、84年大会ブラジル。この2国の対戦は過去激戦の末痛み分けてきた。スピードのオランダ、テクニックのブラジルと相場は決まっていたが、今回はお互い過去のイメージは払拭しブラジルの固いディフェンスラインにオランダのトップのスキルフルな攻撃がどこまで通用するかが試合の行方を決定するはずである。開始10分、フェリペ・メロのセンターからの長いスルーパスを抜群のタイミングで受けたロビーニョがいきなり先制してしまう。オランダの弱点であるDFラインの背後を見事に突いた鮮やかな得点だった。ブラジル強し!このままブラジルが試合巧者振りを発揮しゲームをものにするのだろうか、前半はまさにブラジルの思い通りの筋書きに進んでいるかに見えた。30分ロビーニョのドリブル突破からルイス・ファビアーノがカカーに絶妙のパスをつなぎ、カカーは狙い済ましてゴール角を狙うがGKの超美技で得点ならず、前半終了直前にもマイコンが70年のカルロス・アルベルトを思い出させる右サイドからの強烈なシュートを放つが惜しくもサイドネット。攻めっぱなしのブラジルだったがこの決定機を逃したことが後になって大きな意味を持つことになってしまう。後半に入ってすぐオランダはFKからの早いリスタートでスナイデルがブラジルゴール前に放り込むと、メロとGKセザールの連携ミスを誘いまさかのオウンゴールで同点となってしまう。これで生き返ったオランダは厚い攻撃を仕掛けるようになる。25分にCKからスナイデルがヘッドで叩き込みまたもセットプレーからの得点でついにゲームをひっくり返した。焦るブラジルはよくも悪しくもこの試合の主役となってしまったメロが相手を踏みつけ一発退場で数的にも不利になってしまう。流れはどんどんとオランダに傾き、結局このままブラジルは奈落に沈んでしまい王国はベスト8で姿を消すことになってしまった。西村雄一主審も冷静に試合をコントロールし、こちらも日本サッカー史上に残る活躍ぶりだったことも特筆する必要があるだろう。

●ウルグアイ1-1ガーナ(PK4-2)
フォルラン、スアレスの2トップが絶好調のウルグアイ、アフリカ唯一の8強入りで地元を味方につけたガーナ。タイプがまったく異なる実力伯仲の2カ国の興味深い対戦だったが、先手を取ったのはガーナ。若きムンタリが今大会でも一二を争う素晴らしい30mのロングシュートを右隅に決めた。ウルグアイもこれで追う展開になり気迫あふれるプレーでゴールに肉薄する。後半10分、今度はフォルランがFKからこれまたビューティフルなゴールを叩き込み追いつく。逆転を狙うウルグアイは何度となくガーナゴールを脅かすが何とかガーナも耐え抜き延長戦へ。延長でも決着がつかずこのままPK戦かと思われたロスタイム、ウルグアイゴール前の混戦から放ったアディアのシュートは飛び出したGK不在のゴールへ。とっさにゴールをカバーしていたスアレスがハンドでなんとかその得点を防いだが即座にPKが宣告され、これでガーナの劇的勝利かと思われたがさらにドラマは待っていた。キッカーのギャンはなんとこれをはずしてしまいタイムアップ、決着はPK戦に持ち込まれた。一発レッドでピッチから去っていたスアレスは皮肉にも一躍ヒーローになってしまう。
ドラマチックな試合は結局動揺するガーナがメンタルが左右するPK戦を制することが出来ず、ウルグアイの4強進出が決まった。筋書きのないドラマとはまさにこのことというようなスリリングな試合だった。

7月3日
●ドイツ4-0アルゼンチン
優勝3回のドイツと優勝2回のアルゼンチン。どちらも強力な得点能力で今大会ゴールを量産してきた。事実上の決勝戦という論調もあるほどここでどちらかが消えるのが惜しまれる。1点勝負だろうとの大方の予想だったが試合開始早々いきなりドイツがセットプレーからミュラーが先制点を挙げてしまう。ドイツは早いパス回しで今大会一番の試合運びでアルゼンチンに対するが、メッシ、テベスの個人技はさすがにそのドイツに対応を強いることになり、ドイツの運動量も徐々に衰え、アルゼンチンは後半ゲームを支配しだす。しかしながらピッチの神は不世出の天才・メッシに味方せず、23分にクローゼが間隙を縫ってゴールを決めてしまう。ワンチャンスをものにされ2点のビハインドを背負ったアルゼンチンは焦りの色を見せ始め、強引なメッシの突破にドイツはマークを固め、アルゼンチンは次第に網にはまっていく。追いつくどころか3点目はドイツのDFフリードリヒに決められ突き放され、終了間際にはクローゼに止めを刺されてしまう。4-0。ドイツの水族館のタコの「パウル」以外に誰も予測できなかった結果でアルゼンチンはいいところ無く独特のパフォーマンスで大会を盛り上げてきたマラドーナ監督とともに大会から消えていくことになった。


●スペイン1-0パラグアイ
優勝候補と目されたスペインもなかなか調子が上がらないまま勝ち進んできたがポルトガルを下し華麗なパスワークの復調の兆しも見える。日本を下したパラグアイは堅守で知られるが、やはり攻めるスペイン、守りながらカウンターを狙うパラグアイという試合展開になった。スペインは持ち前のパスで攻撃を組み立てるがゴールが遠い。逆に前半終了間際にパラグアイがバルデスのシュートでゴールを割ったかに見えたがオフサイドの判定、さらに後半13分カルドーソがPKの絶好のチャンスをはずしてしまう。絶体絶命のピンチを脱したスペインは今度はシャビ・アロンソがPKをはずしてしまい、どうしても勝ちきれない。攻めながらも苦しむスペインだったが後半38分にペドロのシュートがポストに嫌われるところをビジャが押し込み値千金の1点をもぎ取る。どうにかこうにか南米の難敵を下したスペインだが、次回はアルゼンチンを下し絶好調のドイツが相手、不安はぬぐい切れない準決勝進出である。

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