2009年9月17日木曜日

10th Anniversary


早いものでもう10年。
今日はかつてスタッフの一員として台湾で立ち上げた『Taipei Walker』誌の創刊10周年に当たる。
当時はウォーカーシリーズが絶好調の時期、日本の出版社の初の海外進出ということで、今では考えられないくらいの勢いで手間も金もかかったプロジェクトだったし、いわば無謀なまでのチャレンジとも言えたが、正直仕事のダイナミズムに夢中になれたし、生涯でも忘れえぬ面白い日々だった。

なんといっても思い出深いのは創刊前後の1週間だ。
当初は、日本のウォーカー同様に火曜日発売を予定し本来だったら9月21日が創刊日であった。しかしながら台湾での週末の人の出や、創刊イベントや宣伝等のタイミングを考えて直前に前週末の17日を創刊日に繰り上げたのが幸いし(本社は突然の変更に激怒、担当役員からずいぶん怒られたが)、迎えた創刊日には台湾出版史上空前の部数を売上げすっかり面目躍如。そして本来の創刊日だった21日になんと台湾大地震が発生したのである。今思い返しても冷汗が出るし本当に天の啓示だったと思わざるを得ない。

その後2年にわたる台北暮らし、シンガポール駐在と続いていくのだが、その間にも20世紀最後の日を台北の中山競技場のカウントダウンイベント会場で迎えたり、明けて3月の総統選挙で1911年以来君臨していた国民党政権が瓦解した現場で興奮したり、いろいろなことを体験したがみんなみんなつい昨日のことのようだ(その時の主役・陳水扁総統もいまや獄につながれているのが月日の経過を感じさせるが)。

『Taipei Walker』はその後、隔週刊行が月刊となったがデジタル化もうまく行って、“台湾の雑誌”としてすっかり定着したようだ。自分自身はもはや単なる部外者となってしまったが、当時の同僚だったST氏はいまだに香港と台湾を行き来し現地で頑張っているし、ジョブホッピングが当たり前の台湾人スタッフも何人か辞めずに頑張っている。本当に彼らにはこの10年の成果に対して心からおめでとうと言いたい。また当時仕事でお世話になった日系企業の現地駐在の人たちや多くの現地の協力者にも改めて感謝の意を表したいと思う。

聞けば来月には創刊10周年ということで久々の雑誌主宰のフリーマーケットのイベントが行われるらしいので(第1回目の発案者なのだ!)、ぜひ参加したいと思っている。いまから当時苦楽を共にした仲間の顔を見るのが楽しみである。

4 件のコメント:

ask さんのコメント...

そうだったのですか。>創刊日vs震災
知りませんでした。驚愕。奇蹟。

秋山光次 さんのコメント...

askさん、新型インフル(じゃなかったっけ)直りました?顔の負傷も徐々に癒えているようでよかったですね。

創刊のドタバタ、今は懐かしく振り返れますが、もしあの時…と考えると、いろいろな感慨が沸きますね。

創刊前日にいろいろと宣伝イベントをお願いしていた代理店のD社のビルが火事で燃えたのも焦りました。ビルの屋上に避難していた担当者と携帯がつながって
“大丈夫ですか?”
“ありがとうございます、何とか無事です”
“いや、明日のイベントのことだよ”
“…”
なんて笑えない会話があったのも、いまだにその担当者と会うたびに話題に上がります。酷いですよね~

そういえば一緒に駐在したO氏は、『関西ウォーカー』をやっていたときに阪神大震災、台湾にきて台湾大地震ですからねえ、こんな人もそうそういないと思いますよw

ああ、いろいろと思いだす!www

此花あかり さんのコメント...

台湾地震と創刊日の話はほんと奇跡ですねぇ、びっくり。
私は阪神大震災の1か月前に東京に越しました。なので仕事には影響なかったんですが、被災した友人作家が担当編集者に「それはともかく、ネームは?」と言われていました・・・・。

秋山光次 さんのコメント...

D社の担当からは今でも嫌味を言われますw

地震の後、すっかり経済状態が停滞しちゃって、創刊号で露出した街中の看板広告やバス広告が掲出期限が過ぎても全然差し替わらなかったw ほぼ半年以上、広告がデーンと入ったバスやタクシーが走り回っていました。これも怪我の功名でしたね。