2008年9月19日金曜日

青い鳥


14歳の頃の自分は何を考えていたんだろう?
クラブ活動のこと異性のこと、この時期の少年にありがちな悩みは当然人並みに抱えていた。
当時は社会情勢が緊迫していたこともあって、ベトナム戦争や社会的貧困、教育の選別体制、内包する矛盾への疑問みたいなことも日々みつめながら学校へ通っていた。
しかし今の14歳の子供たちのガラスのように壊れやすいナイーブさは当時ほとんど無かったように思えるのだが。

11月公開の映画『青い鳥』の試写を観た。

直木賞作家・重松清の短編シリーズの映画化。中学生のいじめをテーマに吃音の代理教師と子供たちが向かい合う内容なのだが、観ていて終始感じていたのが、自分たちの頃の14歳と現在の14歳の中学生たちの抱えている悩みのあまりの質的な差異だった。一言で言えば、幼い。教室の中で展開されている子供たちの行動や発言を観ているとなにか小学校時代を想起させるレベルとしか思えなかった。
もちろん作り事の映画の中の世界なので実態はこんなものではないとは思うが、日々、報道される教育現場の混乱やモンスターペアレントに代表される保護者たち、みんなひっくるめて甘えの中で自己中心的な正当さを主張しているようにしか思えない。
映画で描かれている中学校が抱えているような問題が今日的な教育現場の共通の問題であるならば、これも時代が変わってしまった現実なのだと、理解するしかないのだろうか?
まあ、保身を図り体面を保つため見当違いの平穏さの復活に一生懸命な学校側の対応とかは、まったく普遍なのでこちらのほうはあまりの変わりようの無さに苦笑してしまった。

主演の阿部寛は吃音の教師役を好演、言葉を超えた表情の演技が光る。職員室で孤立する阿部に唯一理解を示すお約束の女教師役の伊藤歩もなかなか魅力的、もう少し出番があっても良かったんじゃないだろうか。
監督は灘高―東大出身という教育ものにうってつけの?経歴を持つ中西健二。原田眞人、吉田喜重、長崎俊一らの助監督につきながら、マキノ雅彦の話題の新作『次郎長三国志』の監督補を経て、この作品が劇場映画の監督デビュー作となった。

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