2013年4月5日金曜日

70年代フレンチエンターテイメントの実録作品




今日の業務試写はフランス映画『最後のマイ・ウェイ』(フローラン=エミリオ・シリ監督)。おじさんのカラオケ愛唱歌でもあるシナトラの『マイ・ウェイ』の原曲をうたったフランスの人気歌手クロード・フランソワの伝記映画である。クロード・フランソワは39歳で夭逝し、日本じゃいまいち知られていなかったがフランスの60~70年代の超スーパースターだった人。

『マイ・ウェイ』は「いつものように」という彼の曲をポール・アンカがカバーしてシナトラで世界的にヒットし、エルビスやシド・ヴィシャス(布施明もだけど)までがカバーした。劇中でもそのシナトラはじめジョニー・アリディ、ジルベール・ベコー、オーティス・レディングといった当時のエンターテイナーたちが次々に登場する。みなそれなりに特徴をよくつかんでいるが、フランソワ役を演じたジェレミー・レニエ自体もそっくり。とりわけ彼が恋人にしていたフランス・ギャル役のジョセフィーヌ・ジャピという女優さんは瓜二つで、実は中学生のころ彼女の大ファンだっただけに本当に感情移入してしまった(こんなに可愛い娘傷つけるなんて!と映画とはいえ思わずむかつきまくってしまったよw)。

フランソワ本人は病的なまでに神経質で嫉妬深く傲慢ないやな奴なのだが、スーパースターでいることの孤独感とか、人気を保つことに対する焦燥や不安な感情の起伏などがよく表現できていて人間ドラマとしてなかなか見ごたえがあった。フランスでは昨年公開されるや1週間で100万人を動員する大ヒットだったそうで、今でも彼の衰えぬ人気を示しているようだ。 また、60年代から70年代にかけてのパリの雰囲気が実によく再現されていて、音楽ファンじゃなくてもあの懐かしいポップでオシャレな時代を疑似体験するだけでも楽しい。

というわけで、本日は家に帰って段ボールにしまい込んであるフランス・ギャルのドーナツ盤を引っ張り出すことと(Youtubeでも見られるけどね)、次のカラオケの持ち曲は久々に『マイ・ウェイ』にしようと心に決めたのであった。

Bunkamuraル・シネマにて初夏ロードショー。

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