2015年6月24日水曜日

野獣暁に死す


文化人類学者の西江雅之さんの訃報を知った。
自分がこれまで長く編集の仕事してきた中でも、印象に残った仕事に西江雅之さんとJAZZピアニスト山下洋輔氏との対談がある。

1984年のザテレビジョンのムック本『言相樂』を編集した際、「音楽とことば、人類とことば」というテーマでお二人のお話を伺った。確か西新宿の高層ビル街の近くの石鍋料理の店の個室でやったような気がする。
アフリカのフィールドワークでお忙しい中、これも確か山下さんのリクエストで実現したと思った。西江さんによるとアフリカ現地部族のコミュニケーションが“音楽”によって構成されているというようなお話でそのぶっ飛んだ内容の面白さに、山下氏も立ちあっていた我々も大笑いしながらも西江ワールドにすっかり惹きこまれたものだ。

また、西江さんの個性と言うか、その野人ぶりにも度肝を抜かれた。料理は獣や、魚の原形をとどめていない加工されたものは食さない、と言って最後まで練り物の肉団子などには手をつけなかったのも驚いたが、体質的に肌の老廃物が出ないので何カ月も入浴をしなくても臭くならないしつやつやしたままだというのには、ほんまかいなと、飄々とした口ぶりにどこまでが本当なのかなかなか信じ難かったことを記憶している。

訃報を知った時、あの自然のまんまのワイルドな人でもすい臓がんで倒れるのかと、不思議に思ったが、やはり、人は人である限り亡くなってしまうんだなあと妙な気分にさせられた。


それにしても、もう30年ほど前のあの初夏の夕暮れのひととき。
なんとも不思議で、忘れ難い楽しい時間だったのを思い返している。


謹んでご冥福をお祈りいたします。

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