2011年12月11日日曜日
どっと疲れる映画
先日試写で観た園子温監督の『ヒミズ』に触発されて、現在公開中の『恋の罪』を観に行く。
1997年に渋谷で起きた東電OL殺人事件にインスパイアされたということだが、内容は場所が円山町というだけであまり実際の事件との関連性はない。大学教授の女性が夜は売春婦に変貌するというシチュエーションこそ類似しているが、主テーマは日常生活の中に押し隠されている様々な女性の抑圧からの解放の手法を不特定の男性とのSEXに求めていくという心象に置き、強烈な映像とともに性の地獄への途行きを描いて行く。
ただし、大学教授と貞淑な人妻がともに滅んでいく表現に力が入り過ぎて、肝心の猟奇殺人のサスペンス性やストーリー展開が平板になったり辻褄が合わなかったりというきらいがあり、その分、『ヒミズ』の方がより完成度は高い気はする。
一番印象に残ったのは神楽坂恵の壊れっぷり。グラドル出身で女優としての素養があるわけではないのだが、墜ちていく女の変貌ぶりを鬼気迫る体当たりの演技で表現し、凄い存在感を示している。まあこの撮影の後に監督と結婚したというのもわかるというか、彼女自身の存在をこれだけ意のままにされりゃ一緒にならざるを得ないわな。また大学教授の富樫真も2面性を表現するという意味ではこちらも負けじと熱演している。二人ともこんな役柄をやっちゃった以上、次にどういう役を演ずるのか難しいかもしれない。
主演ということになっている水野美紀も頑張っているんだが、役自体はあまり見せ場もなく、こちらも濡れ場シーンで熱演しているのだがちょっと可哀そう。
しかしなかなか映画を観終わってどっと疲れを感じさせる。
園子温の世界に付き合うのは見る側もなかなか根性がいるのは確かだ。
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