2010年6月23日水曜日

熱戦第2幕へ


ワールドカップはグループリーグのセカンドレグが終了。
連日の朝まで生テレビで観るほうの体力も消耗戦を強いられてきたが、セカンドレグで欧州の強豪の明暗がはっきりしだした。フランスはじめイングランド、ドイツもピンチに立たされ、アフリカ勢もカメル―ンが早くも脱落、新興国の検討もあって各組混戦の様相でますます目が離せない。
日本の行方も気になるが、各国の戦いぶりでワールドカップの盛り上がりもヒートアップしてきた。
試合見ながらTwitterを打ち込むことも多くなったが、ワールドカップ関連のTLの盛り上がりも凄い。
以下セカンドレグの観戦雑感。


16日
●南アフリカ0-3ウルグアイ
前半、ウルグアイのディエゴ・フォルランの目を瞠るミドルが炸裂し、それまでほぼ互角の展開を見せていた南アフリカに動揺が走る。後半は焦る南アにウルグアイの巧みなゲーム運びでことごとくチャンスの芽を摘まれていくうちにPKを与えてしまい、フォルランに追加点を決められてしまう。地元の声援を受け打開を図ろうとした“バファナバファナ”は結局なすすべなく終了間際に決定的な3点目で、失意の完封負けを喫してしまう。この敗退により開催国の16強入りは極めて厳しい立場に追い込まれてしまった。

17日
●アルゼンチン4-1韓国
韓国の果敢なアタックで立ち上がりは興味深い展開だったが、メッシのスーパーなボールキーピングとテべスのエネルギッシュな切り込みで徐々に流れはアルゼンチンに。FKからの朴主永の不運なオウンゴールも相手のプレッシャーがじわじわ効いてきた結果なのかもしれない。さらにイグアインがヘッドで追加点を捕った時に、これで韓国も終わったかと思いきや、前半終了間際にイ・チョンヨンが相手DFの軽率なプレーから1点を返してゲームは面白くなった。しかしながら後半もメッシを止めようがなく、人数をかけさせられ対応に追われるうちに、イグアインがごっちゃんゴールでハットトリックを難なく達成。メッシ一人で韓国のあわよくばの野望を打ち砕いた。

●ナイジェリア1-2ギリシア
ナイジェリアは立ち上がりにFKがそのままゴールに飛び込み優位な出だしができ、その後もゲームを支配する。ところが接触プレーにいら立っていたカイタが相手DFのトロシディスを蹴り上げ一発レッド。この愚かな行為がナイジェリアに傾いていた流れを変えてしまう。数的優位に立ったギリシアが高さを利用してゴール前にロビングボールを挙げてチャンスを作っていく。前半終了間際サルティンギディスがこぼれ球からギリシアW杯史上初ゴールで同点にした後、後半はギリシャが俄然攻勢に立つ。トロシディスがCKから決勝ゴールを押し込んで、ギリシアが歴史的な1勝を勝ち取った。これによってアルゼンチン以下横一線に並んだ3チームの2位争いが予断を許さなくなってきた。

●フランス0-2メキシコ
第1戦を引き分けたフランスはこの試合を落とすと窮地に立たされるが、メキシコはかなりの難敵。ドメニク監督はリベリーをトップ下に張らせるシステム変更で臨むが、メキシコもドス・サントスやエルナンデスといった元気がいいFWがフランスDFの裏を狙う。後でわかったが試合運びがうまくいかない苛立ちからハーフタイムにアネルカが監督を批判し後代させられるバタバタ劇が発生。攻守のバランスも悪く後半ついにエルナンデスに裏を取られ失点してしまう。こうなるとチームの意思がばらばらになったまずい展開でフランスはなすすべなく相手にPKを献上、ベテランのブランコに難なく決められ万事休す。フランスの病状は重い。

18日
●ドイツ0-1セルビア
初戦に圧勝したドイツと手痛い1杯を喫したセルビア、セルビアの負けられないコンタクトプレーで試合はヒートアップし、前半のうちにドイツの得点源の一人クローゼが2枚のイエローで退場という事態に。ヨバノビッチが動揺するドイツの間隙をぬって先制弾を叩き込むと、一人少ないドイツもポドルスキを中心にパワープレーを仕掛けるがなかなかゴールに結びつかない。後半に入りドイツは相手のハンドでPKを得る絶好のチャンスを迎えるがポドルスキが何と止められてしまう。後半の時間の経過とともに数的優位に立ったセルビアにかわされドイツは痛い敗北を喫してしまった。セルビアはガーナに負けたショックから立ち直り、なんとか16強入りに踏みとどまった。

●スロベニア2-2アメリカ
スロべニアは前半ビルサが中央から見事なゴールで先制、試合を優位に支配する。さらに前半終了間際に高さで追加点をもぎ取ってゲームをほぼ手中にしたかに見えた。しかしアメリカは苦境に立つと異常な根性を発揮する。後半開始早々にドノバンが切れ込んで魂のゴールが炸裂。その後もドノバン、デンプシー、アルティドールが繰り返しゴールに肉薄、ついにこらえきれなくなったスロベニアはブラッドリーに決められ追いつかれてしまう。こうなると勢いはアメリカ、何度となく決定機を作られるがスロベニアは何とか耐え抜き引き分けに持ち込んだ。アメリカのファイティングスピリッツと団結心は観る者の心を熱くさせる。

●イングランド0-0アルジェリア
初戦を分けてしまったイングランドがアルジェリアには確実に勝点3を稼ぎたいところだったが、アルジェリアも巧みなテクニックとスピードで対抗、一筋縄ではいかない健闘ぶり。タレントに勝るイングランドも何度となく攻めるものの元琉球FCのGKボルヒの攻守にゴールを割れない。最後はトップにクラウチを投入しパワープレーを試みるが最後まで得点ならず。2試合連続の引き分けでイングランドは窮地に立たされた。

19日
●オランダ0-1日本
日本最大の敵に対しチームワークと組織的守備で対抗、圧倒的にポゼッションを取られながらシュート数はオランダを上回る善戦ぶりだったが、後半疲労とともにバックラインが下がりスペースを与えスナイデルに強烈なシュートを決められ金星ならず。

●ガーナ1-1オーストラリア
初戦で大敗したオーストラリアは格上のガーナ相手に負けられない戦いを強いられる。ところが立ち上がりホルマンがゴール前に詰めてオーストラリアは先手を打つことに成功、これでゲームの行方が面白くなる。しかしながら前試合のケーヒルに続き、この試合でも主力のキーウェルがハンドで一発退場をくらいPKで失点してしまう。その後ガーナの個人技とパスワークでプレッシャーをかけられたオーストラリアは数的劣勢に耐えなんとかドローに持ち込んだ。ドイツのよもやの敗北でこのグループの行方も混沌としてきた。

●カメルーン1-2デンマーク
日本に手痛い1杯を喫したカメルーンが得点源のエトーを右サイドからセンターに移し、積極的に仕掛ける。開始10分に中央からエトーが見事に決めて、早速エトー効果が表れたが、デンマークもロメンダ-ル、ベントナ―の高さとスピードで対抗。前半のうちにこのコンビで最後はベントナ―がフィニッシュし同点に。後半さらにロンメダ-ルの攻撃にカメルーンDFは対応に追われていたが、ついに鮮やかなファインゴールを決められてしまい、“不屈のライオン”カメルーンは早くも敗退が決定してしまった。しかしながらデンマークは最少得点差の勝利ということで日本との決戦で勝つことを義務付けられてしまう。

20日
●スロバキア0-2パラグアイ
南米2位のパラグアイがその能力を見せつけ、スロバキアのフィジカル頼みのサッカーをテクニックと速さで翻弄。危なげなく得点を重ね、最後まで相手に主導権を渡すことなく勝つ点3をゲット。16強入りに大きく近づく。

●イタリア1-1ニュージーランド
参加国中最弱の評価のニュージーランドだったが、初戦の終了間際にスロバキア相手に見事な同点弾で勝ち点1を拾っただけに、優勝候補相手にも臆せず守りを固めてカウンターでチャンスをうかがう。さすがに圧倒的にボールは支配されるが前半早々、FKからのロビングを名手カンナバーロがマークを外されスメルツによもやの先制弾を押し込まれてしまう。反撃に出たイタリアも前半30分を経過しやっとデ・ロッシが相手エリア内でPKを得る。これをイアクインタが確実に決める。圧倒的に攻めるイタリアの逆転は時間の問題かと思われたがニュージーランドの高さを生かしての必死の防戦とGKパクストンのセーブでゴールが決めきれない。逆に散発的だがカウンターをしかけられ失点のピンチも飛び出す始末。攻めに攻めたイタリアだったが時間の経過とともに焦りが見え始め攻撃も強引になり相手DFに跳ね返されてしまいついにタイムアップ。ニュージーランド今大会最大の番狂わせで、イタリアは2戦終わって勝利なし!予選敗退の大ピンチに立たされてしまう。

●ブラジル3-1コートジボワール
本命ブラジルがアフリカ勢最強と目されるコートジボワールと相まみえたが、序盤互角の試合運びからカカ―、ロビーニョの華麗なパス回しでブラジルは徐々にエンジンをかけ始める。ルイス・ファビアーノが技ありのファインゴールを突きさし先制すると、ブラジルの強さを見せつけるような連続した分厚い攻撃でエラーノ、ファビアーノとゴールを重ねていく。後半エース、ドログバが一矢報いるシュートを炸裂させるがコートジボワールの反撃もここまで。カカ―の退場は余計だったがブラジルがなんなく難敵を料理した。

21日
●ポルトガル7-0北朝鮮
初戦王者ブラジルに大善戦した北朝鮮が、66年大会以来の因縁の相手ポルトガルに挑戦。立ち上がりは北朝鮮も良く攻め上がっていたが、徐々にポルトガルの個人技と速さの対応に追われだす。前半は先制されたものの何とか1点でしのぎ後半の反撃が期待されたが、シモン、アウメイダと立て続けに得点を許すと、DF陣の集中が切れてしまい次々とゴールを決められてしまう。ここまで無得点だったCロナウドも得点し終わってみれば7-0の大差。北朝鮮のリベンジは地力の差で返り討ちにあってしまった。この大敗に北朝鮮のメンツはぼろぼろ、帰国後選手が迫害されるのではないかと心配になってしまう。




●チリ1-0スイス
チリは本当にスピードあふれる果敢な攻撃力を誇る好チームだ。優勝候補のスペインに土をつけて意気上がるスイスが相手だったが、アグレッシブでサボらないサッカーでボディブローを打ち続けるように攻撃を仕掛ける。守りを固めたスイスも前半で退場者を出しさらに劣勢を強いられる。後半粘り強い攻撃が実りチリのマルク・ゴンザレスがクロスに頭で合わせ値千金のゴール。反撃に出たスイスを抑え、勝ち点を積み上げ早くも16強入りを確かなものにした。

●スペイン2-0ホンジュラス
初戦で躓いてしまったスペインもホンジュラスには星を落とせない。序盤から変幻自在のパスワークが復活しホンジュラスを圧倒する。前半ビジャが3人抜きでフィニッシュし見事な先制弾を決め本領発揮。ホンジュラスの抵抗も散発で終わり、多彩なパスワークで試合を支配し続けビジャの2点目で試合を決定づける。スペインはこの復調でなんとなく予選突破の道筋が見えてきた。次は好調チリが相手、好ゲームが期待される。

2010年6月21日月曜日

週間呑みアルキスト5.31~6.20


●6月1日
昔同じ職場のTG氏のご尊父が亡くなられたという訃報が届き、通夜列席のため池上線の石川台にある斎場に出向く。普段なかなか乗らない路線なので早めに到着したこともあって商店街を「ぶらり沿線の旅」気分で散策する。なかなか閑静な住宅街で生活環境は良い感じだ。適度に開発もされていないので昭和の面影も随所に残っている。通夜の後、会場で合流したK社関係の人たちKB氏、MT氏、K映画関係のAK氏、旧衛星放送事業で同僚だったSZ氏、YS嬢ら懐かしい面々で軽く呑んで帰ることになり、来たときとは逆の目黒線奥沢駅方面に歩く。奥沢駅前のビル地下にある居酒屋『丸十 ひものや』で献杯、思わぬ同窓会とあいなった。生ビールのあと焼酎のボトルを入れ、結構飲み食いし勘定を頼むと一人頭1000円弱、世に“せんべろ”という言葉がはやりだしていることは知っていたが、確かにデフレは進行中のようだ。本当は安いといって喜んでばかり入られないのだが…。

●6月4日
先月発売になったワールドカップの増刊号の製作に携わったスタッフを集め、媒体社主催の打ち上げをしていただく。当日は日本代表が大会前にテストマッチとしてコートジボワールと戦うということもあって、大型スクリーンを店内に設置してある神保町『エスペリア』に総勢13人が集合し、まさにワールドカップの雰囲気たっぷりの宴会に。幸い売れ行きも良いそうで会費も媒体社もちにしていただいた。しかしながら宴会自体は楽しかったが肝心の日本代表は相変わらずパッとしない、今後の売り上げの伸びに多少なりとも影響があるかと心配になる。解散後有志で2次会に『シャルルボイル』、『白木屋九段下店』とハシゴして気がつけばすっかり空は白み始めている。すでに始発も動いており電車の中でうとうとしながら朝帰り。

●6月8日
電子出版に向けた制作会社の勉強会に出席した後、新宿三丁目『うおや一丁新宿三光町店』で懇親会。I-PADの発売がこの業界をどう変えるのか、またわれわれに何が出来るのか呑みながらも議論は尽きない。

●6月9日
K社時代に同僚だったSG嬢が早期退職で会社を辞めたということで、挨拶に来社かたがたささやかなお疲れ様会。すずらん通り裏の日本蕎麦屋『柳屋』でSG嬢を囲んでKJ氏、デザイナーAki氏らゆかりのある仲間で昔話に花が咲く。酒豪のSGさんに付き合って日本酒をがんがん飲んだため、最後はすっかり覚えていないが翌日2日酔は免れないはず。SGさん長い間ご苦労様、これからもよろしくお願いします。

●6月11日
ワールドカップ南アフリカ大会がついに開幕。仕事を早々に済ませ早めに帰宅、帰りがけ南アフリカ産のピノノワールの赤、シュナンブランの白とワインを仕入れて帰る。この期間中はテレビに釘付けとなるので、結構ワインの酒量は上がりそうだ。せっかくのメタボ健診の食事指導でダイエットの効果も出始めていたが、呑まずにこの人生の祝典を楽しむにはいられない!リバウンドはやむなし。

●6月17日
大型プロジェクターを期間中に入れることになったという連絡を受け、新宿二丁目の『T's Bar』に韓国対アルゼンチンの試合を観戦に行く。普段はJAZZが流れる店だが集客のためというよりTDマスターの個人的趣味といった感が強い。サッカー好きの常連のEB社ST氏も到着したので同席して試合に集中する。多少のゴーストがあったが呑むうちに気にならなくなる。後から入ってきたお客さんもにわかサッカーバーに変身していたので驚いていた。アナログを地デジに変えて画質も向上するというので期間中、また行くことになりそうだ。

●6月18日
ワールドカップ増刊号を手伝ってもらったKJ氏が来社、どこかで試合を観戦しながら呑みましょうということで、昨日の今日なので『T’s Bar』を回避して新宿に新しく出来たサッカーバー『bona punch』に浮気、セルビア対ドイツ戦を観戦することに。日本戦じゃないので大丈夫だろうとたかをくくって予約を入れずに行ったのだが、新宿スタジアムと銘打っているだけに予約の団体客で試合開始の頃には満員に。たまたま隣の席に座った若い男女の集団が試合そっちのけで大騒ぎ、ブブゼラ並の騒音ですっかり熱戦に水を差された。やはり真のファンは若者相手のサッカーバーなんかで試合を見るもんじゃないと痛く反省。Tマスターやっぱり大人は大人の店で見るのがヨロシです。

2010年6月20日日曜日

歴史的な惜敗


ワールドカップE組セカンドレグ、日本はグループ最強の敵オランダと対戦した。
まさに国際大会でのフル代表同志として戦うのは初めて、ガチンコのオランダにどこまで通用するのか、日本が本腰を入れて世界を目指したここ20年の成果が試されているといってよい歴史的対戦だったと思う。

ガチンコとはいえ相手の主力アリエル・ロッベンを怪我で欠いたのは、日本DF陣の大きな脅威が少なくとも30%は負担が減った行幸だと思うが、それにしても現在のサッカー界の最高峰を行くチームであることに変わりはない。

カメルーン戦の勝利で、メディアも、テレビで浮かれる若いサポーターと称する連中もにわかにオランダにもし勝てば、というような論調まで出だしたが、正直そんな甘い相手ではない。特にカメルーン戦までの日本代表チームの出来を考えると、上向きになったとはいえ3点以上の点差をつけられて惨敗は必至なのではと内心覚悟をしていた。それぐらいチームとしての伝統と経験、スキル、フィジカルすべてにおいて差があるのは少しサッカーを知っている人間なら容易に理解できたはずである。

オランダ自体も組み合わせが決まって今日までの間の星勘定で、日本からは勝ち点3は固いという前提で動いていたはずだし、首脳陣や選手たちの日本評も試合前の外交辞令に過ぎず楽勝ムードでいたことは間違いない。実際昨年の親善試合では、ちょっと手こずったが終わってみれば3-0の楽勝だったという事実も、イメージの端からぬぐえないのは当然だろう。

しかし大会前、結果が出ぬまま本番を迎えた日本代表の危機感は相当なものであったはずだ、メディアの論評もさることながら、この大会で何も成果を残せないまま終わってしまえば、それこそ日本サッカーのここまでの歴史を逆戻りさせることにもなりかねない。選手たち自らもそんな重圧の前でやるべきことは何なのかチームとして再確認するとともに、大会直前で苦肉の策で試したシステムが機能したことによって、絶対的エースであった中村俊輔をベンチに下げ、最近までスタメンだった内田も楢崎も中村憲剛もベンチを暖めさせ、それでも団結してひとつの集団として戦う意識がベクトルを同一方向に向けさせたのだろう。
その結果が、堅く守る、サボらないで動き続ける、機を見て積極的にカウンターを狙う、ということを徹底し試合の内容は決して美しくはなかったもののカメルーンとの緒戦に勝利を収めるという、最高の結果を勝ち取っていたのである。

オランダにとっては、前回の親善試合での対戦と南アフリカに来てからの日本とは一味違っていることは、試合が始まってからすぐに気がついたかもしれない。日本の相手の良いところを終始消しにかかる堅守とときに両サイドから松井、大久保が長友、駒野と連携してチャンスをうかがう姿勢に、圧倒的にボールを支配しながらもなかなか思うように決定機を作れずにいる。こんなにバックパスでボールをまわすオランダを見るのは初めての経験だ。確かにオランダは攻めあぐねているし、嫌がる戦いを日本は意識してかどうかやっているように見える。

前半を失点ゼロに防いだ日本は、気がついてみるとポゼッションは圧倒的に差がつけられているがシュート数がむしろ相手を上回った。モハメド・アリがかつてジョージ・フォアマンに見せたロープ・ザ・ドープといった感のある乾坤一擲の戦いぶりが効を奏していると思っていいのだろう。

そして後半、日本もひょっとしたら、先に点を取れるかもしれないといった、希望的観測すら生じ始めつつあったが、やはり体力的な問題もあったのだろう、徐々にバックラインが相手のプレッシャーに下がり始める。セットプレーからファン・ぺルシーにわたったピンチになんとか身体を張るものの、スナイデルにセカンドボールを拾われ目の覚めるような強烈なミドルを決められてしまった。ジャブラニの変化もあったのだろうがそのボールスピードゆえ川島はセーブしきれなかった。岡田監督は前線の交代でなんとか勝ち点を拾おうと岡崎、玉田を投入したが、やはりこの代表チームの得点力ではオランダのゴールをこじ開けるには力が不足していた。これがやはりオランダとの埋めようの無い差である。

0-1の最少得点差の敗北。勝ち点は0という事実しか残らなかったが、しかしながら大会のグループリーグの生き残りにおいては大きな意味を持つ1敗である。次のデンマークがオランダ同様容易ならざる欧州の強豪であることは確かだが、お互いのオランダ戦とのスコアで優位に立った結果、引き分けでもグループ2位の芽が出てきたからである。カメルーン戦、オランダ戦の戦い方から見て、勝ち点を取るのはまったく考えられないことではないからである。
“自信がついた”インタビュールームで語る各選手たちの表情は疲労困憊した敗者のそれでなく、悔しさに満ちた表情であることが最大の収穫であるように思う。
彼らは意識してはいなかっただろうが、実は日本サッカー史上、この敗戦は歴史の逆行の危機を踏みとどまっただけでなく、新たな歴史の行き先を決定付けることになる可能性に満ちた戦いであったのではないか。

まだワールドカップのベスト16に向けた決戦が控えているし、メディアははやくもこの試合の評価よりグループの星取に関心が移ったのも仕方がない。デンマークの戦力分析もいっせいに喧々諤々始まりだした。
しかしながら長く日本のサッカーと付き合ってきた身として個人的には、昨夜のオランダとの0-1の惜敗は、後年語り継がれることになる戦いであったと、ひそかに思っているのである。

そう、でもサッカーはこれからも続く。
デンマークとの本当の意味での決戦が待つ。さらに次の試合も日本代表の栄光の歴史を刻む戦いであって欲しいと祈るのみである。

2010年6月17日木曜日

熱戦続く


日本代表のジャイアントキリングの興奮冷めやらぬ中、熱戦が続くワールドカップグループリーグのファーストレグはついに一回り。
以下試合の観戦雑感であります。

14日
●グループE「オランダ2-0デンマーク」
日本と同組のヨーロッパ勢の対決。ボールを支配するオランダに対し守備的にカウンターを伺うデンマーク。前半はこう着状態、後半に入ってよく守っていたデンマークが痛恨のオウンゴール。攻めに出ざるを得ないデンマークだったがエースストライカーのベントナーも負傷で下がり攻め手を欠く。オランダの交代で入ったアフェライ、エリアらのスピードある攻勢でカイトが止めを刺す。オランダ順等に勝ち点3を獲得したのだがロッベン抜きでもグループリーグではやはりずば抜けた強さであることを印象付けられる。

●グループF「イタリア1-1パラグアイ」
イタリアのファンタジスタ、ピルロは怪我で欠場。それでもイタリアが圧倒的にゲームを支配する。引きながら耐えていたパラグアイもロングボールで反撃。ワンチャンスをものにして劣勢のパラグアイが先制してしまいゲームはこれで面白くなった。後半も攻めるイタリア、守ってカウンターのパラグアイという構図は変わらないがセットプレーからデ・ロッシがやっとゴールをこじ開けなんとか追いつく。イタリアは例年優勝候補の一角を占めるが、前大会優勝国としては不安な出だし。戦力的にもオランダやスペインと比べると見劣りしてしまう。フランスとともに“古い井戸(byオシム)”と化したか?

15日
●グループF「ニュージーランド1-1スロバキア」
今大会のアウトサイダー筆頭のニュージーランドが初出場とはいえ分離前は欧州の強国のひとつであったスロバキアに挑む。しかしながら技術、経験の差はいかんともしがたく圧倒される中、なんとか1点のビハインドで耐えていたが、この集中を切らさずに我慢を重ねていた健闘が実を結ぶ。最後のロスタイムでパワープレーで上がっていたDFリードのヘッドで殊勲の同点弾。オールホワイツの勝ったかのような歓喜が微笑ましい。次戦もこの勢いで臆することなくイタリアにチャレンジして欲しい。

●グループG「コートジボワール0-0ポルトガル」
死の組といわれるG組の星のつぶし合いの第1戦は白熱の好試合。エリクソン監督の就任で個人技に組織力を持ち込んだコートジボワールがC・ロナウド擁するポルトガルに互角の展開。特にロナウドには徹底マークで仕事をさせず、後半、骨折から驚異的に復活したドログバの投入で勝負をかける。ポルトガルも最後まで攻撃の手を緩めず一進一退の攻防が繰り広げられ結局スコアレスで痛みわけ。グループリーグにはもったいないようなハイレベルの戦いに感嘆。

●グループG「ブラジル2-1北朝鮮」
国歌吹奏で感激のあまり号泣したチョン・テセの姿を見ればやはり肩入れしたくなるのが人情。そんなこちらの思い以上に、テセはじめ北朝鮮イレブンの果敢な戦いに胸が熱くなる。ボールポゼッションは6対4でブラジルが圧倒、怒涛の攻撃にアン・ヨンハッを軸に気力で跳ね返す北朝鮮。もっともランキングが離れたカードも弱者の健闘で前半はなんと0-0で折り返す。後半マイコンの技ありの先制弾で均衡が破られると耐えていた糸が切れたかのようにエラーノに得点を許してしまう。疲労困憊の北朝鮮だったが終了間際テセがロビングボールを落とし走りこんできたチ・ヨンナムが目の覚めるようなシュートを決めて意地を見せる。66年のイングランド大会に続き北朝鮮が再び世界を驚かせる。

16日
●グループH「ホンジュラス0-1チリ」
南米予選2位通過のチリはアグレッシブな攻めのサッカーを展開。ファインプレーを連発したGKはじめよく守っていたホンジュラスだったがやはりサッカーの質が1枚上手であるのは否めない。1点しか取れなかったがチリの順当勝ち。TBSも日本戦の代償でつかまされた感のあるカードだったがゴールデン枠の放送にしては地味ながらファンにとっては凄く面白かった。

●グループH「スペイン0-1スイス」
優勝候補筆頭のスペインが、雨あられとシュート見舞いながら、スイスの堅守にどうしても1点が取れない。逆に後半早々数少ないチャンスにスイスがカウンターからフェルナンデスが値千金の先制ゴール。焦るスペインに身体を張って守り抜くスイス。怪我のトーレスも投入し総攻撃を仕掛けるが無情にもタイムアップ。スイスが緒戦で大金星の勝ち点3。今後スペインはチリ、ホンジュラスに取りこぼすことなく勝ちぬけられるのか?波乱の展開で大会の行方はさらに面白くなった。

2010年6月15日火曜日

ブルームフォンテ―ンの凱歌


●グループE「日本1-0カメルーン」
一夜明けて、メディアは日本代表の報道一色。
やれチームは迷走だの、監督交代だの、全然期待がもてないとボロカスだった論調も、一転本田はヒーローになり岡田は名将になってしまう。

やはり勝たなければ意味がない、ということを改めて実感させられた。

昨夜のカメルーン戦での勝利も、90分間泥臭く、またクレバーに相手の攻め手を消し続けた選手たちの地道な試合ぶりで、体力的にも日本の運動量がガクンと落ちる後半残り30分を集中を切らさず身体を張って守り切った決して華麗とは言い難い勝利だった。
それでもこの勝ち点3は天国と地獄ほど価値が異なる考えうる限り最良の結果であるし、同時にワールドカップを参加だけに終わらせないための最低限の課題をクリアしたにすぎないとも言える。

岡田のコメントは味気なかったが、勝ち点3といってもまだグループリーグを抜けるために何かを得たわけでないことは確かなので、指揮官として正直な心情なのだろう。さらにオランダ、デンマークと日本よりはるかに格が上の国々との戦いが続くのだ、それがワールドカップの厳しさだし世界最高峰の大会の魅力である。

本田は確かに何か持っているかもしれないし、松井の切り返しと正確なフィードは素晴らしかった。
長友も攻めを犠牲にしてエトーに決定的な仕事をさせなかったし、阿部のアンカーも効きまくっていた。
長谷部の鼓舞は観ているこちらも心が奮い立ったし、センターバックの2人もカベに徹していた。大久保も、駒野も、川島も、遠藤も、岡崎も、稲本も、矢野もやるべくことをやりおおせたことの結果が1-0の結果となって報われた。
先はまだまだ見えはしないが、今日一日だけはブルームバーグの夜空に上がった凱歌に身をゆだねていてもいいはずだ。それだけの価値とそれを甘受する資格を彼らは獲得したのである。