2011年1月15日土曜日
ドービルにて
俳優の細川俊之さんが亡くなった。
転倒して頭を強打したそうである。享年70歳という年齢も、もうそんな歳になっていたんだと少し驚きだった。ツイッタ―でも書いたが、細川さんとは1983年に日本テレビのグルメ番組取材でフランスを一緒に旅したことがある。細川さんは当時まだ43歳だったわけで時の流れの速さを改めて実感させられる。
番組ホストの関口宏とノルマンディー地方のフランスの田舎料理を訪ねるということで、ドービル、オンフルール、モンサンミッシェルと食べ歩く、実に楽しく美味しい旅だった。
オンフルールで食べたオテルサンシメオの料理の味は今も忘れ難く覚えているほどエクセレントだったし、食事も良かったのだが、料理以上に石畳の多い北フランスの街並みの美しさに感銘を受けた。映画『男と女』のロケ地を歩けたのも思い出深い。
二枚目の細川さんはノルマンディーの風景がまた良く似合った。片言のフランス語もあの渋い低音の囁くような声ですごく上手く聴こえたものである。ロケの途中で入った食堂のウェイトレスも話しかけられ顔を赤らめるほど格好良かった。
若いころ、演技の勉強でパリのアパルトマンに下宿したことがあったとかで、屋根裏にあった部屋から観る町並みの光景と下宿先の女将さんが朝届けてくれるバゲットの美味しさを本当に謡うように聞かせてもらったものだ。
その後お会いすることもなく、もっぱらテレビで活躍する姿を拝見するだけだったが、外国をともに旅したという体験もあって、今回の訃報もなんだか縁が遠くなっていた身内の不幸のような気分がしてならない。最近も、戦後の映画スターたちの訃報が相次いで届いているが、細川さんなんかはまだまだ現役としか思えないし、鬼籍に入るにはなんとも早すぎる。そういえばこの時の写真があったはずと、引き出しをひっくり返して探し出ししばし見入っていた。アップしたのはドービルの海岸の桟橋をバックに撮ったものだ。あの時おふたりで口ずさんでいた『男と女』のスキャットが聞こえてくるようだ。
謹んでご冥福をお祈りしたい。
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2 件のコメント:
ちょっと遅しのコメントですが、
泣・け・ま・し・た
ダバダバダ、ダバダバダ・・・
道子さん、コメントありがとうございます!
この時の旅行の後半は、細川さんと別れてヒデとロザンナのお二人と合流してスペインに行きました。ヒデさんも本当にいい人で旅行の間中仲良くさせていただきました。そのヒデさんももう鬼籍に入っています。
月日のたつのは本当に早いものですね。
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