2010年3月24日水曜日
黄砂に霞む香港
週末、連休に仕事を兼ねて香港に行ってきた。
台湾駐在時代の同僚は現在、香港ベースで活動しているため台湾を含めた仕事の話で香港まで出かけることが多くなった。
ほぼ1年に一回くらいのペースで行っているので、仕事以外では別に観光もすることもなく、街をぶらついているかホテルでのんびりすることが多い。お楽しみの香港グルメも今回は一人旅だったので、本格的な中華料理の晩餐は量的に考えてできないので、いきおい茶餐と呼ばれる食堂系で麺だの粥だのが多くなるのだが、極めてローカルな場所なので生憎広東語の素養は全くないため注文一つするのに四苦八苦してしまうのが常だ。
ところが最近は、こちらの苦し紛れでしゃべる台湾仕込みの北京語がなんとなく通じるところが多くなった気がする。客も大陸の人間が増えたということなのだろうか?
今回もとある店で相席させられた相手がいかにも典型的な大陸おのぼりさん風で、なにせ食事の行儀がよくない。こちらがまだ食べているのに、先に食べ終わった丼に茶で口をすすいで吐き出すし、平気で食べかすを床に捨てるし閉口してしまった。香港人の店員ももお金を落としてくれるお客さんゆえ見て見ないふりをしていたが、顔をしかめていた。
そんな中国大陸の観光客はそこらじゅうに跋扈しているし、地下鉄の自販機の前で団体で使い方を巡って大騒ぎしているのも日常の光景となった。人民元の兌換の看板も街中にあふれる。
折から、香港を一大黄砂がおしよせ、テレビのニュースではぼんやり霞がかかったような高層ビル群の映像を流し注意を喚起していた。
Googleも中国の撤退を決め、香港経由でサービスをするというニュースも盛んに報じられていたが、やはり天安門やダライ・ラマは、当局の手によって情報が遮断され検索不能ということになってしまう。
中国の影といっても香港はすでに一国二制度下の中華人民共和国の特別行政府なので当たり前といったら当たり前なのだろうが、何一つ変わっていないようないつもの自由で活発な香港市民の喧噪に確実に中国の姿が見え隠れするとあまり気分のいいものではない。
香港に行ってきたと友人に言ったところ“香港はいつ完全に中国になるの?”と素朴に聞かれ、そうだよな一国二制度なんていつでも取りやめることができるんだよなとあらためて再認識させられてしまった。
人の往来も、経済も、大気汚染も、ジワジワと大陸に飲み込まれていく。
最近の香港土産の定番も奇華餅店のパンダクッキーが一番人気とのこと。確かに愛らしいパンダをかたどったクッキーではあるが、こんなところにも中国の覇道を感じてしまうのは考えすぎだろうか?
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