8月11日に放送された(29日BS完全版再放送)NHK特集ドラマ『アイドル』。古川琴音さんが戦前一世を風靡した「ムーランルージュ 新宿座」のトップスターだった明日待子を熱演。ドラマ自体も実際に伝えらえていた「ムーラン」の逸話をうまく構成してあり結構楽しめた。
ドラマの中でもあったのだが、学徒出陣する大学生たちが今生の別れにステージに詰めかけるシーンに、わが父親もこの場にいたのかなとふと思ったりした。まさに昭和18年当時父も東京で学生生活を送っていて、学徒動員令で軍に駆り出されていたので、ひょっとしたら「ムーランルージュ」にも足を運んでいたのかもしれない。
「ムーランルージュ 新宿座」は空襲で焼失してしまい、戦後華僑の実業家・林以文氏の手によって再建されたがわずか6年でその歴史に幕を閉じてしまった。その後、林氏は歌舞伎町に地歩を築き、恵通企業(ジョイパックグループ=現在のHYUMAXグループ)として映画館を中心とする娯楽ビルの経営に着手、今に至るまでその歴史を紡いでいる。
林氏はやはり思い入れがあったのだろう、地球会館ビル(現HYUMAXパビリオンアネックス)に「ムーランルージュ」名を継承した当時流行した大型のグランドキャバレーを経営している。
私にとって「ムーランルージュ」の思い出は、まさにそのグランドキャバレーであった。80年~81年頃だったと思うが、当時仕事でテレビ局の人に連れられて行ったのが最初で、その時、接客してくれた社交嬢をすっかり気に入ってしまい、その後も足しげく通い指名することになった。リナという源氏名で背が高く紅いドレスがよく似合うダンスの上手な娘だった。そう、彼女は一時期私にとっての「ムーラン」の明日待子だった。
その後しばらくして、いつの間にか大箱のグランドキャバレーはすたれて時を置かず「ムーランルージュ」も閉店してしまい、リナ嬢の消息も分からなくなってしまった。現在はもう還暦過ぎてしまったはずだが、どこかで元気で暮らしているのだろうか?
ちなみに、ドラマの主人公だった明日待子さんはその後北海道にわたり90歳を超える長寿で最近亡くなられたそうである。
ドラマを観ていて色々と思い出してしまった。
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