今週がラストウィークということもあって、あわてて新宿シネマカリテでかかっているドキュメンタリー映画『メキシカン・スーツケース』を観に行ってきた。
この映画は70年という長い年月を経て、ロバート・キャパ、ゲルダ・タロー、デヴィッド・シーモアが撮りだめたスペイン内戦を記録した貴重なネガフィルムが奇跡的にメキシコの地で発見されたこrとを主題に置いた作品である。が、その発見された事実だけではなく、メキシコに亡命した多くの共和派スペイン人たちの当事者、係累が今なお心の傷跡を抱いたまま暮らしている、その様子を取材し、多くのインタビューからスペイン戦争とはなんであったのか歴史の掘り起こしに焦点を当てたものとなっている。
当時の共和国政府を承認したのはソ連とメキシコの2カ国だけだったというところから多くのスペイン人亡命者がメキシコで望郷の念を募らせながら今日まで暮らしている事実をどれだけの人が知っていただろうか。
沢木耕太郎の「キャパの十字架」などで再びスペイン内戦のことが最近取り上げだされた中、決してこの戦いが過去のものではなく、現在に至るまでリアルな問題として終わっていないことをこの映画で改めて認識させられた気がする。
人民戦線、反ファシズム、国際旅団...ともすれば現代史のロマンチシズムあふれる神話に彩られながら語られることが多いスペインの内戦が、実は当事者にとって今も進行形の悲劇であることを思い知らされるのだ。
久々に姿勢を正しつつ観た硬派のドキュメンタリーである。
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