2012年4月16日月曜日

再開した劇場で・・・


国際協力機関のFACEBOOKの原稿制作で、ソマリアを中心とした東アフリカ支援の話題をここ4カ月ほど書いてきたのだが3月いっぱいでひと段落、5月からは環境をテーマにしたものに内容が変わることになる。最後に書いたネタがソマリアで20年間閉鎖されていたモガディシュの国立劇場が戦闘が落ち着いたため再開し、多くの市民が平和をかみしめたというニュースだった。いつまでもこの平和が続くことを願うと〆た文章は好評で多くの「いいね!」もつき、我ながらなかなか良い話が書けたと満足もしていた。

ところがまさにこんな遠く離れた日本人の気持ちをあざわらうかのように、4日、この再開したばかりの国立劇場で反政府勢力アルシャバブの自爆テロが発生! 多くの暫定政府の閣僚やジャーナリスト、オリンピック委員会の委員長、サッカー協会の会長までもが犠牲になる惨事が起こったとの報道を知る。

先日「サッカーと独裁者」という元BBC特派員の書いたドキュメンタリーを読んだばかりで、そのうちの1章をこの犠牲になった協会会長のことに割いてあったのを思い出した。困難な状況下私費を投じて、また反政府勢力の妨害に遭いながらもサッカーの持つ希望への力に賭けていたそんな人物の崇高な思いを、この日のテロは一瞬で打ち砕いてしまったというわけである。

イスラム原理主義の狂信的なテロ行動に対して、異教徒異民族の自分がどういう考えを示しても、それが正論となるかどうかも分からないが、少なくとも暴力の連鎖が、平和を望む人々の願いを阻害し、塗炭の苦しみを敷いていることは確かだ。
どこにも持っていきようもない怒りとともに何とも言えない無力感を感じる。

週間呑みアルキスト3.26~4.15


●3月29日
Fテレビの機関雑誌A誌の編集に携わって1年たったこともあり、スタッフの慰労会が有楽町の『ヴァンピックル』にて開催してもらう。埼玉の契約農家が手塩に育てた吉田豚というブランド肉を供してくれる店で、他にも鶏肉や羊肉など肉づくしのメニューで食べ終わった端から顔が脂っぽくなるような感じだ。久々の接待を受ける身としては遠慮抜きにメニューのワインを片っ端から試す。店内に飾ってある等身大の豚の姿はあまりぞっとしないが、逆に残しては申しわけないとイノチを無駄にしない気は生まれてくるかも。

●3月30日
デザイン会社MM社が年に数回実施するガレージバーベキューにお呼ばれ。この日のメインは石川県七尾から直送の牡蠣。炭火で焼いた殻をむいて食す肉厚のぷりぷりの身は絶品。まだまだ外の空気は冷たいものの東京の都心のど真ん中でバーベキューをやる風情もいいものである。

●3月31日
神保町の『明治屋2nd』が土曜日に店を開けて白ワインの試飲会を開催。チリやイタリアなどの6種類ほどの銘柄を試す。マスター的には同時に昭和ポップスの映像を楽しむ目的もあってスクリーンを張って懐かしのポップスをBGVで流すのだが、あまりに多くの出席客がワインで大ヨッパライ大会でせっかくの企画も皆完璧スル―。ちっとも試飲会で無くなってしまうのがこの店らしいと言っては失礼か。

●4月3日
春の大嵐到来で、会社はどこも早引き。神保町も夜は風雨も収まっているにもかかわらずどの店もガラガラ。『明治屋2nd』に立ち寄るとここもいつになく空いているのでマスターご夫妻と話し込む。ちょうどここもわが社も4月で7周年を迎えた。思えばちょうど事務所に荷物を運び込んだりしていたときに、同時にこの店の開店準備も進んでいたんだっけ。そんな話をしながらた閑散とした神保町の夜は更けていく。

●4月5日
友人のHT氏が久しぶりに来社、すずらん通りのビストロ中華『SANKOEN』で食事。かつての知人たちの近況などを聞きながら紹興酒の杯が進む。

●4月10日
Fテレビ編集会議後社に戻り、スタッフのSM嬢、TM嬢とともに打ち合わせを兼ねて近所の中華料理店『正香園』で会食。GWウイーク前あたりからまた忙しくなりそうでちょっと憂鬱になる。

●4月13日
元編集者のKJ氏が久しぶりに来社。蕎麦屋の『侘助』で軽く一杯呑んだ後、Bar『シャルルボイル』へ。いつも呑み出したら止まらないKJ氏だが、最近はこちらが忙しいのを汲んでくれて早々に切り上げてくれる。ちょっと進歩したかな。この日も社に戻ってもう一仕事。

2012年4月15日日曜日

ザッツエンタテインメント


先週本年度アカデミー賞5部門受賞の『アーティスト』(ミシェル・アザナヴィシウス監督)を地元のシネコンで観て来た。映画愛に満ちた噂にたがわぬ素晴らしいエンタテインメントで、全編隅から隅まで20~30年代のムードをつくりこんだオタク魂に感嘆!主演の二人以外にも(犬のアギー含め)脇を固める顔ぶれもいい。ひいきのぺネロープ・アン・ミラーも出演していたので(嫌な役だったけど)個人的には大満足だった。色々なシーンで過去の名作にインスパイアされた描写やスコアが散見されるし(「めまい」でキム・ノヴァクからはクレームついたらしいが)マルコム・マクダウェルのカメオ出演映画などもファンにとってトリビア的な楽しみ方も出来る。ラストはアステア=パウエルの「踊るニューヨーク」へのオマージュなのだろうか?思わずYoutubeで再確認してしまった。
こういう映画を企画するユニークな発想と、それを商業的な作品へと作り上げ、ヒットさせる文化的な素地は素晴らしいが、これがハリウッドではなくフランスの映画青年たちの手によるところも考えさせられる。まあだからこそ消え逝くフィルム映画の惜別をこういう形で表現するエスプリとかは外からじゃなければ気がつかないのかもしれないな。

それにしてもサイレントという原点に立ち戻り、映画は楽しいと改めて感慨に浸らせてくれる作品であった。