2011年3月6日日曜日

フィールド・オブ・ドリームス


“そこに作ると彼らがやってくる”
映画『フィールド・オブ・ドリームス』では「ブラックソックス事件」で追放された選手たちを呼び寄せるためにトウモロコシ畑を切り拓いたが、山梨学院大学サッカー部監督・塚田雄二氏は次代を担う子供たちを呼ぶためにブドウ畑を切り拓いた。

塚田監督はサッカー界では知る人ぞ知る指導者である。自身は韮崎高校から日体大を経て社会人チームの甲府クラブ(ヴァンフォーレ甲府の前身)で活躍。引退後は後進の指導に当たりJリーグ創設で甲府が加入した後は監督に就任、セレッソ大阪の監督、ユース年代の日本代表監督を経て現在は山梨学院大学の監督を務めているほか、協会の指導者養成のコーチ等の要職にもついている。
先週、『FOOTBALL KALTE』誌の取材で、この塚田監督のインタビューをしてきて深い感銘を受けた。
塚田氏は大学を指導する傍らUスポーツクラブという少年サッカークラブを主宰していて、もうすでに20年近く子供たちのサッカー指導にもかかわってきた。いわば歩き出した子供からプロのトップチームまで、さらにはプロから監督になる指導者にいたるまで教え続けるサッカー界でも稀有な人でもある。


驚いたのはUスポーツクラブの夜間照明設備の整った人工芝のグラウンドが、塚田監督が実家のぶどう園をつぶして作られているということだ。まさに映画を地でいくような話である。大学や日本協会での激務の傍ら子供たちを連れて他県だけでなく海外への遠征も体験させたり、その情熱には頭が下がる。この日も教室が始まる時間になると大勢の父兄が車で続々と子供たちを送りに来ていた。まさに映画のラストシーンのようだ。
“山梨の地から世界で活躍できる選手の育成を”という信念に基づいて私財をなげうって作られたこのグラウンドから、すでに山梨学院大付属高校で選手権で優勝した選手も輩出している。塚田氏のフィールド・オブ・ドリームスが現実のことになるのもそう遠い将来ではないようである。

昨年の南アフリカでのワールドカップ以来の日本代表チームの目覚しい活躍には、実はサッカー界の裾野で陽になり陰になって支えている塚田監督のようなサッカー馬鹿の功績が大きい。

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