2010年7月11日日曜日
セミファイナル!美しく勝利せよ
ついに優勝国は4カ国に絞られた。
ドイツ、スペイン、オランダ、ウルグアイ。
ドイツは過去3回、ウルグアイは2回の優勝があり、スペイン、オランダはともに勝てば初めての優勝となる。
6月11日から1ヶ月かかって戦われてきたサッカーの祭典もついに終盤を迎えつつある。祭りのフィナーレを飾るあでやかな栄光を待ちわびながらも、すでに祭りが終わった後の寂寥感すら感じるようになってきた。この至福のときがいつまでも続くように念じながらも、あと残すところ3位決定戦を含め4試合のみ。
セミファイナルはドイツ×スペイン、オランダ×ウルグアイ。特に前者は夢のカードといってよいだろう。サッカーという共通文化を自らの母国の歴史や民族の誇りをかけて、いま、新たなる伝説が創造されようとしている。
7月6日
●オランダ3-2ウルグアイ
強力な得点力を誇るオランダと試合巧者のウルグアイ。ウルグアイ頼みの2トップの1角であるスアレスは準々決勝の激闘で母国を救うことになったハンドで1試合の出場停止、エースのフォルランがその重責を一身に背負う。オランダはロッベンの復帰がチームを活性化させトーナメントに入ってから圧倒的な強さを見せ付けてきた。大会前カイトやロッベンらの間にささやかれた不協和音はどこへやらチームも優勝という大目標の前に一丸となっている。両チームとも試合開始早々から激しくボールを奪い合い互角の展開が続いていたが、先制点はオランダ。前半18分に左サイドからファン・ブロンクホルストがゴール右角に目の覚めるようなミドルを突き刺した。いままでスナイデル、ロッベンの活躍の影で献身的にチームを支えてきた主将の大一番での見事な仕事だった。しかしウルグアイもこの強敵にひるむことなく果敢に攻める。何度もチャンスを作りむしろオランダよりチーム状態の良さを印象付けるような堂々とした戦いぶりである。41分に今度はおかえしとばかりディエゴ・フォルランが中央からミドルを放ちGKの頭上を破リ、ウルグアイは試合を振り出しに戻す。さらに前半終了間際の波状攻撃は相手をダウン寸前までにラッシュをかけるボクサーのようであったがオランダはゴングで救われた。スカパー解説のイビチャ・オシムも審判が笛をもう少しの間吹かなかったら点が入っていたと断言していたほどだ。後半も一進一退だったが25分スナイデルが左45度から狙ったシュートはオフサイドの位置の見方の足をかすめそのままゴールに吸い込まれていった。主審はこれをゴールと認めオランダは再び優位に立つ。浮き足立つウルグアイの体制が整う前にさらにロッベンが左からのクロスをヘッドで叩き込み追加点をもぎ取り、突き放すことに成功。ウルグアイは2点差になっても戦意は衰えずフォルランを中心に執拗にオランダゴールに迫る。オランダは守り抜くべく時間を使い刻々と過ぎていく。ロスタイムにマキシミリアーノ・ペレイラがついにオランダゴールを破るゴールを決めたが、ときすでに遅し検討届かず無情のタイムアップの笛が鳴った。オランダの強さはさることながらそれ以上にウルグアイの魂が感じられる激闘だった。
7月7日
●スペイン1-0ドイツ
強力な得点力でイングランド、アルゼンチンと強豪をねじ伏せてきたドイツが、いまひとつ調子の上がらないスペインにも圧倒してしまうのではないかという予測も、それがまったく見当違いであることを試合開始早々に見せつけられた。スペインの素晴らしい芸術的ともいえるパス回しで、ドイツはまったくボールが奪えないでいる。ゆっくりとチャンスを組み立てゴール前ではイニエスタ、ビジャ、シャビ、シャビ・アロンソ、ペドロらが変幻自在にドイツゴールを脅かす。特に怪我明けで本来のコンディションではないフェルナンド・トーレスの代役を務めるペドロはことごとくチャンスに絡む。74年のオランダ×ドイツ戦でオランダが見せたパス回しにも似てスペインはドイツを翻弄した。バルセロナに根付いたクライフの遺伝子が甦ったかのようにである。ただしなかなかドイツもスペインに簡単にはゴールを割らせないでいたが後半28分CKからDFのプジョルが打点の高いヘッドを突き刺しやっと1点をもぎ取った。しかしこの1点でスペインにとっては勝利には十分だった。ドイツは試合を通してトロホウスキのミドル、クロースのミドルと決定機は2回だけ。点差以上に明らかな質の差を感じさせる完敗を喫してしまった。
バルセロナを中心とするスペインの美しいまでのサッカーと、やはりミケルス、クライフがその土台を築いたオランダとの決勝。クライフの後継者たちによる戦いはどちらが勝っても初の戴冠となる。
7月10日
3位決定戦
●ドイツ3-2ウルグアイ
目標を失った同志の3位決定戦はその存在意義を疑問視するむきもあるが、90年のイタリア大会以降、なかなか見ごたえのある戦いが繰り広げられてきた。今回もドイツとウルグアイは世界3位の“栄光”をかけて追いつ追われつの激戦となった。歴代通産ゴール記録がかかるクローゼは怪我で欠いたが、ドイツはミュラーが得点王を狙う大会通算5点目を決め、またウルグアイのフォルランも見事なボレーでやはり通算5点目をあげた。ドイツは何とかウルグアイに競り勝ち有終の美を飾った。
そして翌11日。日本時間27時30分、ヨハネスブルグ、サッカーシティで世界一の栄光を目指す戦いが始まる。
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