2010年4月10日土曜日
カティンの森の悲劇再び
ポーランドの現職大統領のカチンスキ大統領がロシア西部のスモレンスクで飛行機事故死した。同行の政府要人や大統領夫人も含め87人の乗客乗員の生存者はいないということである。双子の兄も一緒だったのだろうか?一瞬、テロかと思ったが濃霧の中の強行着陸で木に衝突したらしい。
カティンの森の虐殺から70年の追悼行事に参加する途中だったというから、ポーランドにとってはこの地はいよいよ悲劇の場所として記憶されるだろう。事故現場の映像の背景も先日観た映画『カティンの森』を想起させる寒々しい場所だった。
あらためてポーランド国民に対して深い哀悼の意を表したいと思う。
それにしても国家元首の飛行機事故死というのはあまり聞かない。1957年のフィリピンのマグサイサイ大統領、1994年のルワンダのハビャリアナ大統領くらいじゃないだろうか(ルワンダの場合は反政府勢力の対空ロケット攻撃なので一般的な“事故”とはいえないかもしれない)。やはり危機管理という側面から周到に注意がはらわれるからだろう。
今回の場合製造から40年は経過していまだに飛んでいるのかと思うような旧式のツポレフ機が専用機として使用され、大統領以下政府要人がまとめて移動するということ自体が驚きだが、国家の経済的な事情もあるだろうし、「連帯」出身という“立場”もあったから贅沢はできなかったということなのだろうか?そもそもがスモレンスクみたいな田舎の空港には最新機は着陸できないのかもしれない。ただそれにしても不用意な気がしてならない。
何だかこの1週間、色々な国で元首の受難が相次いでいる。
キルギスでは反政府暴動でバキエフ大統領が辞任を迫られ逃亡しているし、タイではタクシン前首相派の抗議デモでアビシット政権は非常事態宣言の窮地に陥っている。キルギスにはJICAの仕事で知人の女性が派遣されているので他人事ではなく心配だ。
そう考えるとどこかの国の内閣の支持率が30.9%に落ち込んだ、なんていうのは受難の内には入らないし本人もあまり意に介していないのだろう。我慢強い国民で良かったなと本当に言いたくなる。経済で失政した大臣が公開銃殺される国だってあるんだぞ。
支持率低下でも蛙の面に小便といったわれらが宇宙人首相だが、カチンスキ大統領、ポーランド国民への哀悼のステートメントがいまだ聞こえてこないのはどうしてなのだろうか?
すべてが他人事のような国家的危機管理意識が欠如するKY首相だが、国際的なKYで恥かかないようにくれぐれもお願いしたいものである。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
13 件のコメント:
http://twitter.com/hatoyamayukio
さっそく投下されましたぜ、KY爆弾。
>昨晩は、ポーランド大統領機墜落、緊迫するタイ情勢などへの対応に追われました。「カチンの森事件」の追悼式典への大統領の強い思いが、この悲劇につながったのでしょうか。あらためて、ポーランド大統領をはじめ亡くなられた方々に追悼の意を表したいと思います。
「強い思いが」悲劇につながったとは、管制塔に止められながらの強行着陸を言いたかったのだろうが、取りようでは“カチンの呪い"的な言説にも聞こえる。あらゆる議論はゆらぎであるとする宇宙人首相なら、Ariel話。
早々のお悔やみありがとうございます。
ポーランドは今日から1週間喪に服します。
大統領の兄は同行しておりませんでしたので、無事です。ご遺体の本人確認と慰霊に現地に向かいました。
しかし、この国の不幸の歴史はどこまで続くのでしょうか。
体制変換からEU加盟、世界不況にもめげず09年はEU加盟国で唯一の経済プラス成長と、わが世の春を謳歌している感がありましたが、この春も長続きはしないのでしょうか。
先ず、このニュースを聞いた時、単純な事故とは思いもよりませんでしたが、現時点では、政争を避け哀悼の意の基に国がまとまることが大切だとの論調、気運で一杯です。
同国に暮らす身としても、これを機に新たな不幸を生まない方向を国として希求していって欲しいと思います。
お願い:
事故地の表記は「カティン」とされることを昨年亡くなったポーランドの専門家・工藤幸雄先生もこだわっておられました。但し、大統領はカチンスキ。
>askさん
もう国際的には各国元首の具体的な弔意がニュースになっているのに、追われた対応が伝わってこないのが気になります。つぶやかれてもなあ。
>fujioさん
ポーランドが深い悲しみに包まれているのはこちらでも報道されています。ただし今回の事故原因の背景にあるカティンの歴史的なバックグラウンドと、この2重の悲劇に対するポーランド国民の悲しみをまったく伝え切れていないように見受けられます。
今後、ポーランドがこの悲劇から立ち直り、前を向く日が一刻も早く訪れることを祈っております。
現在当地15日(木)午前10時半ですが、
未だに日本からの弔問代表が誰がこられるのか情報がありません。
(12日に陛下と首相、外務大臣の弔電が届いたニュースはありました。)
本当に外交センスのない国です。残念。
また、こちらのニュースで面白いものを見ました。
米国(外交顧問?)ブレジンスキー氏がポーランドメディアのインタビューにと答えていました。同氏はポ名「ブジェジンスキ」28年生まれで31年には外交官の父と共に出国して祖国には戻っていないようですが、世界で有名且つ力のあるポーランド人の一人でしょう。
(生きて動いている絵を始めて見ました)
82歳とは言え、白髪を短髪に刈り込み精悍な風貌、鋭い目つきで「この事件は忘れてはならない、全ポーランド人は必ずカティンに一度は行って、祈る必要がある。」と吼えていました。(あまりに流暢なポ語で、正しく聞き取れているかは自信がありませんが・・・)
正に昭和(20世紀)の妖怪なのでしょうが、
全くボケた様子や年寄りの雰囲気はなく、(息子は正式にオバマ政権の外交政策顧問)厳然とオバマ政権には影響力があるといいますので要注意です。ひ弱なな日本もそうですが、この国もこういう人物に動かされているのでしょうね。
日本は本当に外交音痴ですね。
特に政治家は全く駄目!外務官僚なしには何もできない。しかもチャイナスクールが幅利かしているようじゃ国を危うくします。本当に嘆かわしいです。
ブレジンスキーは懐かしい名前ですね。民主党タカ派の論客ブレジンスキー、共和党のキッシンジャーとかつてパックスアメリカーナの外交の一線に立った爺さんたちはなかなか死にませんよ。翻って我が国は…?
聞くところによると故カチンスキ大統領自体の国民的人気はいまいちだったというから、今回の悲劇的事件で兄さんとかが同情票で地位を盤石にするんでしょうかね。それはさておき弔問外交での米ロの接触は見ものですね。それにしても日本は経済以外(最近それも怪しいけど)存在感が薄いなあ。
現在当地15日(木)17:00、未だに日本の弔問代表は決まらないのでしょうか?
チャイナスクールではない「ラスプーチンと呼ばれた男」が言っています。
http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200705090001o.nwc
まったくその通りだと思います。
当地17日の葬儀には、明日には日本を発たないと間に合わないでしょう。また、世界に恥を晒すのでしょうか?
首相の決断ひとつだと思うのですが・・・
官邸にメールした方が良いのでしょうか?
おそらく、岡田、武正正副外務大臣は19日からのEUビジネスラウンドテーブルのホスト役なので出席できないはず。皇室も宮内庁がこんな緊急スケジュールではうんと言わない。かつての大臣クラスも政権が変わったので公的資格がない。
ということで大使級の出席だけでしょう。
せめて国連大使でも派遣すべきだと思うけど。
鳩山はスケジュール的には無理すりゃ行けると思うけどね。でも核サミットでオバマと会ったばかりで恥かいたから、今回また無視されてもマイナスイメージばかりなので行けないでしょうね。
情けない限りです。
弔問代表は江田五月参議院議長に決まったようですね。
米ロはじめ国家元首クラスが予定されているのにちょっと寂しい感じです。
ただ、鳩山首相では存在感はないし、KY発言も怖いし、結果的には良かったのかも・・・
江田さんは、先日もポーランド情勢のブリーフィングを外務省から受けていたようですが、ポーランドに興味があるのでしょうか。
更に、アイスランドの火山噴火による灰が欧州全体に広がっているようで、日本からの欧州便は全便欠航とのこと、どうなるのでしょう。江田さんは南周りで来るくらいの意思は強そうですが。
ちなみに、多少の灰ではクラクフ(18日葬儀予定地)の空港は閉鎖しないと空港代表が言っています。
ここで問題は、上記の空港代表の発言に現れているように、ポーランド国としてこの追悼イベントはなんとしても成功させたいという気魄があるのですが、70カ国の元首クラスを安全に守る警備力や交通インフラが整っているかです。特に10年前の警察しか知りませんが、不安です。鉄道も先日クラクフからの帰りに車両故障とのことで、突然駅のないところで、車両の乗換えをさせられました。テロや政治信条の問題でなくとも、春先は人間の精神を不安定にさせる時期で、どんな人間が現れるかも心配です。
いずれにせよ、この悲劇に更なる不幸が重なることがないよう天に祈るばかりです。
世界人類の弔意が神に通じることを願います。
江田五月は細川政権で国務大臣経験しているし、民主党政権ではまあ、良いほうなんじゃないんですか?一応三権の長ですからね。
それにしてもアイスランドの噴火は時期が悪いですね。なんとか無事に国葬が執り行われることをお祈りしております。
時事「ポーランド訪問を中止=参院議長」 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010041700005
全共闘時代の闘士も、危機管理が最優先ですか?
どうなってしまうのでしょう???
日本も、ポーランドも、
偉そうには言えませんが、義理を欠いてはこの世は闇ですね。
でも今回の事件の発端も、危機管理に関係していそうだし、正に複雑怪奇。
天までも邪魔をして、どうしろというのですか?
クラクフの空港まで閉鎖ですか?
強行着陸で二重の悲劇が起きてもねえ…。
しかしアイスランドの噴火の影響がこんなに広がるとは驚きです。
お陰様で17日ワルシャワにて追悼式典、18日クラクフにおける葬儀ともに、無事に終了しました。
火山灰の影響でオバマ米大統領他40カ国の元首級の弔問が中止され、ご遺族並びにポーランド国家には残念ですが、日本代表の訪ポ中止も目立たなくなりました。(民主党政権には天佑だったのでは・・・)
事故の対応や葬儀への大統領の出席でポーランド国民の意識におけるロシアの株が上がっていますが、冷静にみると当たり前のことをしているだけ、ただ旧体制を知っている人々には別人のような印象なのでしょう。
但し、カティンの森の霊も新たな犠牲者の霊も未だ慰められているとは思えません。
改めて世界の人々からの慰霊の念とポーランド国家に対するご高配を賜らんことをお願いしたい気持ちです。
日本でも火山の影響の余波ということで大きく報じられてます。
ロシアも関係改善のために(政治的な腹積もりももちろんあるのでしょうが)一生懸命になっているのがよくわかりますね。
ポーランドの今回の国家的な受難から国民の皆さんも一丸となって早く立ち直ってほしいと思います。
次の波蘭通信も楽しみにしてますよ。
コメントを投稿